米国におけるタバコ価格の推移


タバコ会社はタバコ販売本数の減少を値上げによってカバーする形で増収を維持しています。

今回は米国におけるタバコ価格の推移等を調べてみました。

米国におけるタバコ

タバコ価格、CPI(消費者物価指数)、平均時給の推移

まずはタバコ価格(Consumer Price Index for All Urban Consumers: Tobacco and smoking products)、CPI(Consumer Price Index for All Urban Consumers: All Items)、平均時給(Average Hourly Earnings of Production and Nonsupervisory Employees: Total Private)の推移をグラフ化してみました。データはFREDのもので、1966年12月=100として指数化しています。

約52年間でCPIが7.6倍、平均時給が8.2倍になったのに対して、タバコ価格は30.6倍にまで上昇しています。年率換算にすると、CPIが4.0%、平均時給が4.2%に対して、タバコ価格は6.9%になります。インフレ率を年率2.9%ポイント、平均時給を年率2.7%ポイント上回る上昇が続いてきたということになります。
10年毎に区切ると下表のようになります。
※ただし、2010年代は2018年7月までのデータです。


タバコ価格CPI平均時給
1970年代5.0%7.4%7.1%
1980年代9.7%5.1%4.3%
1990年代7.9%2.9%3.2%
2000年代7.8%2.6%3.2%
2010年代※3.6%1.7%2.2%


「タバコ価格-CPI」、「タバコ価格-平均時給」は下表のようになります。高インフレの1970年代以外はCPI・平均時給を上回っていますが、2010年代は上昇ペースが落ちています。


タバコ価格-CPIタバコ価格-平均時給
1970年代-2.3%-2.1%
1980年代4.6%5.4%
1990年代5.0%4.7%
2000年代5.3%4.6%
2010年代※1.9%1.4%

「タバコの価格弾力性は1よりも小さく、値上げをしたほうが売上が増える」という話はよく耳にしますが、CPIや平均時給を大幅に上回る上昇がずっと続くと、いつかは支出や所得に占めるタバコの割合が高くなり過ぎ、値上げも限界が来てしまうのではないかと思えます。

タバコの個人消費支出推移

タバコの個人消費支出の推移をみてみると、世界恐慌以外は不況下でも右肩上がりで増加し続けてきたのが、2010年頃をピークに頭打ちになっていることが分かります。

個人消費支出に占めるタバコの割合の推移

個人消費支出に占めるタバコの割合は以下のように、不況で一時的に上昇することはあっても、長期的には下落トレンドが続いています。ピーク時の1932年には2.71%だったのが、2018年には0.67%まで落ちています。

喫煙率の推移

米国の喫煙率はピーク時の1954年には45%でしたが、2018年には16%まで低下しています。JTの調査によると日本は2018年で17.9%なので、かなり近いですね。

先ほどの個人消費支出に占めるタバコの割合は1954年が2.06%、2018年には0.67%でした。もし仮に喫煙者と非喫煙者で貧富の差が全くなかったとすると、喫煙者の消費支出に占めるタバコの割合は、1954年が4.6%(2.06%÷45%)、2018年が4.2%(0.67%÷16%)でほぼ変わらないということになるかと思います。

出典:Statista

所得別の喫煙率

ただし、喫煙率は低所得者ほど高く、高所得者ほど低くなる傾向にあります。

下グラフは2008年にギャラップが実施した所得別の喫煙率です。年収6,000ドル未満(大部分が学生)を除くと、所得と喫煙率は逆相関になっていることが分かります。

出典:Gallup

喫煙者の消費支出に占めるタバコの割合はデータが見つかりませんでしたが、低所得の喫煙者が多いことを考えると、どこまで値上げが可能なのかというのも気になるところですね。


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