AGIと無リスク金利・株式リスクプレミアム


一般にはGDP成長率が上昇すると金利は上昇することが多いため、そのまま単純に考えるとAGIで成長率が大幅に上昇すると金利上昇につながるということになりそうです。


しかしAGI Could Lower Interest Ratesという論文では、労働所得の消失と安全資産需要の急増によって無リスク金利は押し下げられ、モデルのベースラインではGDP成長率は2%から11%超へ上がる一方、無リスク金利はほぼ0%へ低下、株式リスクプレミアムは6%から20%超へ拡大、となっているようです。


以下GPT-5.5の要約です。

この論文の結論は、AGI/TAIが近いなら長期金利は上がるはず、とは限らないというものです。標準的な成長モデルでは、将来の成長期待が高まると、人々は将来の豊かさを担保に現在借り入れようとするため、長期金利は上がると考えます。しかし著者は、TAIが単なる生産性上昇ではなく「人間労働を資本・AIで置き換える自動化」である場合、逆にリスクフリーレートが下がりうると主張しています。

中核メカニズムは、労働所得の消失、安全資産需要の増加、リスク資産への所得集中です。TAIによって労働の価値が低下すると、人的資本、つまり将来の賃金所得の現在価値が失われます。一方で、株式などリスク資産に十分アクセスできない家計・機関は、購買力を守るために債券や現金のような安全資産へ逃避します。その結果、安全資産需要が急増し、リスクフリーレートは押し下げられます。

定常状態の比較では、TAI前からTAI後にかけて、成長率は約2.1%から11.5%へ上昇します。それにもかかわらず、リスクフリーレートは5.1%からほぼ0%へ低下し、株式リスクプレミアムは5.7%から20.8%へ拡大します。つまり、経済全体は高成長になるが、その果実はリスク資本に集中し、安全資産利回りは低いまま、という世界です。

移行期については、論文のベースラインでは自動化が50年かけて進むS字カーブとしてモデル化されています。自動化指数は0年目から50年目にかけて0から1へ上昇し、中間点は25年目に置かれます。労働の所得シェアは非線形に低下し、総所得に占める資本・固定資源の取り分は0.42から1.00へ近づいていきます。これは、経済の所得源泉が労働から資本へ移る過程です。

この移行期では、実現GDP成長率が一時的に非常に高くなります。論文のストレステスト的な想定では、25年目前後に年率70%超まで成長率が跳ね上がります。通常のモデルなら、ここで金利も大きく上がるはずですが、このモデルではそうなりません。

資本収益率とリスクフリーレートは大きく乖離します。資本収益率は自動化が急速に進む局面で100%超まで上昇し、その後、長期均衡の約21%へ低下します。一方、リスクフリーレートはTAI前の5.1%から移行開始時に3.4%へ下がり、その後いったん5.7%程度まで上がるものの、20年目前後にゼロ下限へ到達し、移行期の大半でゼロ近辺に張り付きます。

このため、移行期の株式リスクプレミアムは極端に拡大します。TAI前は約6%だったものが、移行期のピークでは100%超になります。理由は、AIによって資本の限界生産性が急上昇する一方、労働所得を失うセーバーが安全資産に殺到し、リスクフリーレートを押し下げるためです。

長期債利回りについても、モデル上はTAI期待によって全満期でTAI前の水準を下回ります。ただし低下幅は大きくありません。論文では、GDP成長率が一時70%超になるような極端な移行シナリオでも、長期金利の変化は景気循環、インフレ期待、貯蓄動向などに埋もれうる程度だとしています。したがって、長期金利が大きく上がっていないからといって、市場がTAIを織り込んでいないとは限りません。

要するに、この論文の移行期シナリオは、**「高成長・高資本収益・低安全金利・巨大な株式リスクプレミアム・富の資本側集中」**という組み合わせです。TAIが通常のTFP上昇ではなく、労働所得を破壊する自動化として進むなら、成長加速と金利低下は両立しうる、というのが論文の主張です。

産業爆発(Industrial Explosion)ではAIが研究開発・資本蓄積・ロボット生産・インフラ建設まで再帰的に加速し、年率20〜30%、場合によってはそれ以上の成長が持続するイメージですが、この論文では資源制約を入れてもう少しマイルドな成長になっているようです。

個人的にはAGIが近付いてくると株式市場全体のEPS成長率が持続的に+20-30%とかになってバリュエーションは今度こそ恒久的に高い高原のようなものに到達する感じかなあと思っていたので、無リスク金利0%と株式リスクプレミアム20%が同居しているのは直感的に不思議な感じがしました。


ただこれは当然政府がAGI企業やAGIそのものを管理・課税できている前提だと思うので、政府が正常に機能しなくなれば国債も終わるということで結構難しいアセットになりそうな気がします。


そもそも私だったら労働所得がなくなるなら安全資産の国債よりはAI関連株買おうと思いそうですが、株式は高成長で高リターンは確実としてもリスクプレミアム大幅上昇なら過程はかなり荒れそうですし、上場株式のインデックスを買っていても不確実性が極端に高そうなので必ずしも報われるとは限らないので安全資産が買われるんでしょうかね。


ちなみにこの論文では労働所得が消えるが、政府再分配が十分に補完しない世界を仮定しているみたいなので、政府が十分なUBIを配れる状況ならまた違ってきそうです。


ただ、政府が大規模な増税に踏み切る場合には現物ビットコインやゴールドのようなSoVの需要が大幅に高まりそうな気もします。資本リスクが大きくなって株式リスクプレミアムが上がる世界では結構強そうです。


私としてはとりあえず株式+ビットコインでAGIに望みたいなと思っています。




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