(過去記事:MSCI指数データのダウンロード方法)
今回は低PERに注目しているナイジェリア株とパキスタン株について、他の地域や国の株式、米国長期国債や原油価格等との相関係数を調べてみました。
※相関係数はPortfolio VisualizerのAsset Correlations使えば簡単に調べることができます。ただし、ナイジェリア(NGE)やパキスタン(PAK)みたいにETFが設定されてから日が浅い場合は短期間しか分からないので、今回のように自分で計算するしかないと思います。
相関係数(2002年7月~2019年8月)
対象は全世界株、先進国株、新興国株、フロンティア株、米国株、ナイジェリア株、パキスタン株、米国長期国債(TLT)、WTI原油価格に加えて、低PER国としてロシア株とトルコ株を選びました。期間は2002年7月~2019年8月で、TLTはYahooFinance、WTI原油価格はInvesting.com、他はすべてMSCIの月次データを使って計算しました。
下表は計算した相関係数をまとめたものです。
相関係数は0.0~0.2がほとんど相関なし、0.2~0.4が低い相関あり、0.4~0.7がやや相関あり、0.7~1.0が強い相関あり、という目安があるそうです。
この基準でみると、ナイジェリアとパキスタンでは相関係数0.4以上はフロンティア株のみで、ほとんどの地域・国に対して相関が低くなっています。
米国長期国債との逆相関も他の国と比べると低く、またWTI原油価格との相関も比較的低いようです。
ナイジェリアはアフリカ最大の産油国ですが、意外にも原油価格との相関係数は0.339であり、ロシア(0.544)や新興国(0.439)と比べるとかなり低いです。
上表は小さくて見にくいので、ナイジェリアとパキスタンだけ抜き出してみました。
米国株との相関(36ヶ月ローリング)
せっかくなので36ヶ月ローリングの相関係数も計算してみました。(何故36ヶ月かというとPortfolio VisualizerのAsset Correlationsではデフォルトが36ヶ月になっているからです。実際どの期間が適切なのかはよく分かりません。)
まず、米国株との36ヶ月ローリング相関は以下のようになっています。
2008~2009年は全ての国が揃って暴落したので、この暴落期間が含まれるグラフの中心付近はどれも相関係数が高くなっています。
最近ではパキスタン-米国は相関係数が上昇傾向、トルコ-米国は下落傾向にあるように見えます。
直近ではロシア>パキスタン>トルコ>ナイジェリアとなっています。
米国長期国債との相関(36ヶ月ローリング)
米国長期国債との36ヶ月ローリング相関は以下の通りです。米国株と米国長期国債の36ヶ月ローリング相関(下グラフ)と比べると、どれも逆相関が低めですね。
WTI原油価格との相関(36ヶ月ローリング)
WTI原油価格との36ヶ月ローリング相関は以下の通りです。トルコは原油価格上昇→経常収支悪化・インフレ高進→株価下落となりやすく、これはパキスタンも似たような状況だと思うのですが、パキスタンだけ原油価格との相関が高くなってきているのが不思議ですね。
ロシアはずっと原油価格との相関が高いものだと思っていましたが、昔はほとんど無相関の時期もあったようです。
ナイジェリアとパキスタンは低PERかつ低相関
分散投資をより効果的にするためには相関係数が低い資産を組み合わせるのが重要なので、ナイジェリアとパキスタンをポートフォリオに組み入れると比較的高い分散効果が期待できそうです。その上、2019年8月末のナイジェリア株(MSCI All Nigeria Select 25/50)はPER4.94、予想PER4.09、パキスタン株(MSCI All Pakistan Select 25/50)はPER6.20、予想PER5.17と世界でも最低水準にあります。
ナイジェリアとパキスタンは低PERだけでなく、他の国・地域の株式との相関が低いという意味でも良いんじゃないかなと思っています。
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