PFF(iシェアーズ 優先株式 & インカム証券 ETF)には投資しない


配当金生活するのが目標とブログに書いているからか、時々コメント欄や問い合わせフォームで「PFF(iシェアーズ 優先株式 & インカム証券 ETF)には投資しないんですか?」と聞かれることがあります。

PFFは高い分配金利回り、株式との相関の低さ、低ボラティリティ(金融危機時を除く)という魅力的に思えますが、 私は今のところPFFに投資するつもりはありません。

何故かというと、PFFは株式と比べて低いリターンしか望めないためです。

PFFの株価推移

まずは2007年3月末~2020年4月末のPFFの株価を見てみます。

出典:Portfolio Visualizer

リーマンショックで62.04%下落(S&P500は52.40%下落)したあと、高値を回復することなくほぼ横ばいで推移しています。株価成長がほとんど見込めるものではないので、経費率0.46%の影響が地味に大きそうな感じがしますね。

インフレ調整後では以下のように漸減しています。

出典:Portfolio Visualizer

もっと長期ではどうだったのか調べてみると以下のチャートが見つかりました。金利上昇時と金融危機時に下落する以外はずっと横ばいで推移しています。デュレーションが短いためか、長期債みたいに金利低下局面で継続的に上昇することはないようです。

出典: Simply Safe Dividends

PFFの分配金推移

2007年12月末にPFFに$10,000投資した場合の年間分配金推移(配当再投資なし)です。


出典:Portfolio Visualizer

株価よりも分配金のほうが右肩下がりとなっています。名目でこれなので、インフレ調整後ではもっとはっきりとした右肩下がりになります。

(非現実的ですが)もし仮に2008年にPFF100%で分配金生活を始めた人がいたとしたら、2019年には分配金が28%も減少し生活がかなり厳しくなっているはずです。

なお、優先株の場合、配当は固定配当だったりLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)にスプレッドを上乗せした配当だったりするそうですが、いずれにしても金利に敏感だと思われます。
(PFFはProduct Briefによると77.2%が固定、22.8%が変動だそうです。)

なのでPFFの分配金は今後も右肩下がりという訳ではなく、金利上昇局面では分配金も増加するはずです。

下図は1997~2017年の優先株、社債、S&P500、米10年国債の利回り推移です。優先株の利回りは米国債、社債とだいたい似た動きをしていますが、金融危機時には米国債利回りが低下する一方で優先株と社債は急騰しています。
出典:Euro-Phoenix

PFFの期待トータルリターン

期待トータルリターン=配当利回り+配当成長率

安定成長株の場合、期待トータルリターンは以下のように表すことができます。

期待トータルリターン=配当利回り+配当成長率(≒EPS成長率)

たとえば、これは少し古いですがIFF(インターナショナル・フレーバー&フレグランス)の2019Q2プレゼンテーションではLong-term commitmentのトータルリターン=EPS成長率10%+配当利回り2%=12%としています。

出典:IFF

配当利回りが高すぎる場合は、EPS成長がほとんど望めない、つまり将来的には減配が織り込まれていることが多いと思います。
(米国株の長期的な実質トータルリターンが7%程度(名目で9%程度)であることを考えると、たとえば配当利回り10%とか12%が持続するのはかなり難しいように思われます。)

配当利回り6〜8%のタバコ株も魅力的ですが、個人的には2〜3%程度で1桁台後半の持続的な成長が見込める銘柄のほうが長期保有向きで良いかなと思っています。

PFFは高いリターンは見込めない

金利水準が今のままで株価が横ばいだったとすると、PFFの期待トータルリターンは現在の分配金利回りの6%弱程度にとどまります。

インフレ率2%とすると実質ベースでは4%弱、税引き後ではさらに小さくなります。

平時には安定しているものの、セクターが金融に偏っていることから金融危機時には再び激しく下落することになりそうですし、個人的にはあまり魅力的ではないかなと思います。
(金融規制強化により今の米銀行株はリーマンショック時みたいなことにはならなさそうですが。)

出典:Blackrock

将来的に金利が上昇して十分高い利回りになったり、あるいは○○ショックで一時的に株価が暴落して利回りが急騰することがあれば買うこともあるかもしれませんが、当面は選択肢に入れることはないかなと思います。


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