日本の財産税は75年サイクルらしい


資産課税について調べていると、日本の財産税はだいたい75年サイクルという記事を見つけました。

 参考:財産税は75年毎「忘れた頃にやって来る」(PDF)


1946年の預金封鎖&財産税は認知度が高そうです。株式や不動産などあらゆる資産が課税対象となり、個人財産10万円(現在の貨幣価値では約5,000万円)以上の個人に対して税率25~90%の課税が行われたため、資産が少なく影響がなかった人も多かったようですが、皇室は33億円、三井、岩崎、住友家は数億円の財産税を支払ったそうです。


その75年前は明治維新後の1871年の藩債処分で、277藩の藩債合計7413万両のうち明治維新が引き受けたのは1844年以降の債務3486万両だけで残りの3927万両は放棄されたそうです。大名貸から呉服商に事業転換していた三井家等は被害を免れた一方、天王寺家など大阪の豪商が没落して経済の中心が東京に移るきっかけになったとのこと。

(豪商の没落は銀目廃止令の影響が大きいようですが)


その82年前は1789年の棄捐令で1784年以前の借金が免除され、さらにその73年前の1716年の享保の改革では定免法(豊凶にかかわらず一定額の課税)と増税(3割未満から五公五民)が行われたそうです。


この記事では約75年サイクルで起きている大地震によって政府債務が膨張し、そのたびに債務放棄や大増税が行われたと書かれていますが、レイ・ダリオによると長期の債務サイクルは75~100年だそうなので、大地震がなくて財産税までいかなくても何かしらの問題が起きるのは普通なのかもしれません。

大統領令6102

アメリカでは日本のような致命的な財産税が課されたことはないかと思いますが、1933年の大統領令6102号(Executive Order 6102)によって国民のゴールド保有が禁止され1トロイオンス20.67ドルで強制的に没収されたため、現代でもアメリカ人はゴールドを自国内ではなくスイスに保管する人が多いという記事がありました。

(2016年の記事ですが、この時点で同様の動きが日本人のあいだでも高まりつつあったそうです。)

 参考:金をスイスで保管、日本からの資産逃避じわり-英ブリオンボールト


BullionVaultによると、当時と比べると没収リスクは低いものの伝統的に個人資産を保護してきた国に現物を保管したほうが良いとのことです。

現在私達が置かれている状況は、1933年にルーズベルト大統領が置かれていものとは大きく異なります。金は、金本位制時代のように、世界の通貨システムの基本でありません。また、不動産や金融資産と比較し、より少ない人々が金を所有しています。そして、その保有方法も政府が没収できるような形態ではありません。そのために、金を没収することの政府にとっての利益は、ルーズベルト大統領時代に比べるとより少ないといえるでしょう。

しかし、このようなことが絶対起こらないとは言うことはできないでしょう。そのために、金を所有する場合は、信託資産という形態ではなく、特定保管で現物で国外の伝統的に個人資産を保護する国で所有すべきだと考えます。こうすることにより、自国政府が、その国との関係を犠牲にしてまで金の没収をすることを困難とします。それは、国外で保有されている金地金よりも、他国との関係を悪化させることなく、より容易く没収できる国内に保有する金を含む個人資産があるためです。

引用:BullionVault

日本では田中貴金属や銀行の貸金庫、少額なら自宅保管している人も多そうですが、前者は財産税リスクが高くて後者は普通に盗難リスクが高いので、多額の場合はスイスに保管という形もいいのかもしれませんね。

銀行預金、証券、不動産、金地金、ビットコイン

キプロスの預金封鎖は対象が銀行預金だけだったそうなので財産税に対して一番脆弱なのは銀行預金だと思いますが、1946年のような財産税では証券や不動産も大して変わらなさそうです。


個人で管理されている金地金とビットコインはやや捕捉しにくそうですが、200万円以上の金地金や取引所由来のビットコインはKYC済なので結局はあまり変わらないのかもしれません。


少額の金地金や金貨は本人確認されないとしても国外に持ち出せないので、簡単に持ち出せるビットコイン(現時点では出国税の対象外)が財産税に対しては強いと思います。あとは身に着けられる高級腕時計なども良さそうです。


頻繁に見かける暗号資産の盗難やセルフGOXに関して「資産の自己管理は危ないので中央集権的に管理された資産のほうが良い」という意見もありますが、個人的には金融資産や不動産以外の財産税を課しにくい現物資産を保有する人が増えたほうが多少は抑止力になって良いんじゃないかなと思っています。

(金地金は大統領令6102で没収されたので本気で没収モードになったら厳しそうですが、潜在的に国外に逃げる人が多そうだったらやっぱり抑止力にはなりそうなので。)


実際には75年サイクルで起きたような劇的な財産税というよりは、今言われている金融所得を国民健康保険料の対象にするみたいな細かいところから徐々に増税されていく可能性のほうが高そうな気がするので国外脱出する人はタイミングが難しそうですし、低資産FIREにはそもそも逃げられるほどの余力がないのであまり気にしても仕方ないかもしれませんが…


どのみちLeanFIRE志向である限りは国家と一蓮托生になってしまうとは思いますが、一応はゴールドや(否定派はいるとしても)ビットコインのような国家よりも長く生存する資産を持って自己防衛につとめるのも何もやらないよりは良いのではと考えています。




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