昨年12月のOPEC減産合意で原油は堅調に推移していましたが、シェール企業の増産により原油在庫が増加し、現在、WTI原油価格は節目の1バレル50ドルを下回っています。大規模油田は巨額の投資を長期にわたって資金回収していくのに対し、シェールは掘削から生産までの期間が短く、投資資金の回収も早いので、石油メジャーもシェールへの投資を増やしているそうです。
「サウジアラムコのIPOが控えているので、サウジアラビアが率先して減産、原油は上がる」という内容の記事を読んで、1バレル60ドル、70ドルと上がっていくのかなと思っていましたが、シェールの採算ラインは技術革新が進んでどんどん下がっているようですし、そう簡単には上がらなさそうですね。
上流部門は原油価格が業績に直結するので、2012年に下流部門をPSX(フィリップス66)として分離したCOP(コノコフィリップス)は2016年に減配してしまいました。XOMやCVXは連続増配記録を更新中ですが、フリーCFが配当を下回る状態が続いています。
対して、下流部門は原油価格よりも精製マージン(ガソリンなどの石油製品と原油の価格差)の水準によって業績が決まるため、上流部門よりも原油価格下落の影響を受けにくいそうです。
精製マージンの推移は以下のようになっています。精製マージンのデータはBPのサイトのものを使いました。
WTI原油価格と比べると精製マージンは緩やかなのかなと思っていましたが、思ったよりも激しく変動するようです。
下流部門のVLO(バレロ・エナジー)とPSX(フィリップス66)のフリーCFと配当の推移です。
VLO(バレロ・エナジー)は過去5年の増配率が年率51.6%と高いですが、配当をまだまだ増配余地がありそうです。
現在、配当利回りはCOP2.22%、XOM3.68%、CVX3.89%、VLO3.76%、PSX3.20%です。また、グラフにはありませんが、COP、XOM、CVXは配当を払うだけで精一杯で自社株買いの余裕はなくなっているのに対して、VLOは高水準の自社株買いを続けています。配当に注目するとこの中ではVLOが一番良いような気がします。
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