金利上昇局面の米国REIT


予想を上回った4月雇用統計を受けて、利上げの確率が高まっています。CMEグループのFedWatchによると、現在の6月利上げ確率は78.5%です。FEDは年内2回の利上げとバランスシートの縮小に着手すると見られています。

一般的に金利上昇は株式やREITにとってマイナスです。DCF法では、理論株価は企業が将来生み出すフリーキャッシュフローの合計を割引率で割り引いて計算されます。この割引率は無リスク金利(国債利回り)+リスクプレミアムなので、無リスク金利の上昇は株価の下落要因です。

しかし、REIT.comによると、過去6回の金利上昇局面において、米国株のリターンはすべてプラスだったようです。米国REITも1986年8月~1987年10月と1993年10月~1994年11月の2回を除いてプラスでした。また、「REITは借入金が多いので金利上昇局面では借入金の利払い負担が重くなって低迷」というイメージを持っていましたが、2回を除いてREITは株式を上回っています。


期間
米国債10年利回り累計トータルリターン
始点終点変化幅REIT株式
1976年12月~1981年9月6.9%15.3%8.5%137.4%46.0%91.4%
1983年1月~1984年6月10.5%13.6%3.1%35.6%16.5%19.1%
1986年8月~1987年10月7.2%9.5%2.4%-10.1%10.9%-21.0%
1993年10月~1994年11月5.3%8.0%2.6%-10.3%0.1%-10.3%
1998年10月~2001年1月4.5%6.7%2.1%27.4%27.8%-0.4%
2003年6月~2006年6月3.3%5.1%1.8%108.2%37.6%70.6%
REIT.comより

名目長期金利は実質期待成長率+期待インフレ率+リスクプレミアムで表されます。不動産投資にとって、高い経済成長とインフレ率の上昇はプラス要因なので、REITの利益、配当の増加につながるそうです。

REITの利益の伸び率は過去15年のうち14年で、インフレ率(CPI)を上回っています。


REIT.comでは、金利が上昇しているのか下降しているのかは、中長期的にREITの業績の主要な要因ではなく、経済成長とインフレ率の上昇のために金利が上昇している場合、REITのファンダメンタルズ強化は金利上昇によるマイナスを上回る可能性があると結論付けています。単純に「金利上昇=REITは下落」と考えるのは間違いのようですね。

私はREIT ETFに興味を持っているのですが、本命のVNQ(バンガードREIT ETF)が国内ネット証券で取り扱っていないので、購入は保留にしています。VNQは経費率0.12%なのですが、国内で取り扱っているなかで一番低コストのRWR(SPDR ダウ ジョーンズ REIT ETF)は0.25%とやや高めです。
(過去記事:REIT(不動産投資信託)ETF) 

私がiDeCoで積み立てている投信「三井住友・DC外国リート・インデックスファンド」は米国ではなく先進国REITですが、経費率は0.31%と低コストです。SBI証券で購入できる先進国REIT投信「ニッセイ-〈購入・換金手数料なし〉ニッセイグローバルリートインデックスファンド」は0.30%です。

先進国REIT投信とあまり経費率が変わらないのを考えると、やはりRWRは選択肢から外れてしまいます。海外REIT投信を買っておいて、あとでVNQに乗り換えるとか、あるいはREITの個別銘柄を選ぶのも良いかなと思いましたが、とりあえずはVNQが国内で購入可能になるのを待つことにします。



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