リーマンショック前後の世界各国のCAPEレシオ

今回はResearch Affiliatesのデータから、リーマンショック前後の世界各国のCAPEレシオを抜き出してみました。
(過去記事:世界各国の時系列CAPEレシオが見られるサイト


リーマンショック前後の各国のCAPEレシオ

バブル高値(2007年10月)と底値(2009年3月)のCAPEレシオを比較してみます。参考に現在のCAPEレシオ、2007年10月→2009年3月のCAPEレシオ変化率、リーマンショック時の最大ドローダウン※も載せました。表は2007年10月時点のCAPEレシオの昇順です。
※MSCI指数のPDFの最大ドローダウンを拾っていますが、マレーシア、タイ、ブラジルは同時期のデータがなかったので、iシェアーズETFのサイトのチャートから大雑把に計算しました。


CAPE
(現在)
CAPE
('07年10月)
CAPE
('09年3月)
CAPE変化率最大
ドローダウン
英国13.718.39.4-48.6%-63.42%
イタリア15.222.37.2-67.7%-70.12%
ロシア6.323.15.3-77.1%-79.76%
トルコ11.024.98.0-67.9%-74.57%
南アフリカ19.926.014.5-44.2%-63.40%
スペイン12.426.210.3-60.7%-61.58%
フランス19.326.810.8-59.7%-59.92%
米国大型株32.127.313.3-51.3%-54.57%
台湾20.927.612.7-54.0%-59.97%
ヨーロッパ16.227.99.5-65.9%-62.72%
ポーランド11.328.09.4-66.4%-77.43%
スイス23.728.413.3-53.2%-51.74%
ブラジル13.628.413.6-52.1%※-72.50%
ドイツ18.228.510.9-61.8%-62.98%
韓国14.828.612.1-57.7%-71.35%
先進国23.128.711.7-59.2%-57.46%
スウェーデン19.928.913.1-54.7%-67.00%
全世界22.029.411.7-60.2%-58.06%
オーストラリア17.030.413.5-55.6%-65.01%
香港18.630.712.0-60.9%-63.03%
欧州、豪州、極東17.531.111.2-64.0%-60.41%
カナダ19.732.616.2-50.3%-60.33%
マレーシア16.934.816.6-52.3%※-49.70%
メキシコ21.235.415.8-55.4%-64.36%
アジア(除く日本)18.037.312.6-66.2%-65.51%
新興国15.338.112.7-66.7%-65.25%
米国小型株61.745.022.7-49.6%-59.52%
インド21.347.016.0-66.0%-72.60%
中国16.747.517.2-63.8%-73.30%
日本26.055.919.4-65.3%-62.83%
インドネシア19.867.119.2-71.4%-47.34%
タイ20.7125.913.8-89.0%※-62.20%

まず、2007年10月時点と比べると、現在のCAPEレシオは全体的に割安ですね。現在のほうが高いのは米国大型株と米国小型株のみです。

最大ドローダウンは全世界が-58.06%、米国大型株が-54.57%、先進国が-57.46%、新興国が-65.25%で、2007年10月時点のCAPEレシオは全世界が29.4、米国大型株が27.3、先進国が28.7、新興国が38.1です。新興国が特に激しく暴落していますが、当時の新興国のバリュエーションはかなり高かったようです。
 
80%近く暴落したロシアも2007年10月時点のCAPEレシオは23.1です。ロシア株のCAPEレシオの中央値は6.3であることを考えると、当時の水準はかなりの割高に思えます。

一方で、2007年10月時点のCAPEレシオが67.1だったインドネシアがそれほど大きく下げていないことに驚きました。125.9と超割高のタイも新興国株全体と同程度の下落で済んでいます。

2007年10月時点のCAPEレシオと最大ドローダウンをグラフにしてみました。CAPEレシオが低いからと言ってドローダウンが小さく済むとは限らないんですね。
過去と比べてバリュエーションが割高の米国と割安の新興国を比べると、次の暴落局面では新興国のほうが下落しないんじゃないかなと何となく思っていましたが…バリュエーションが低いから安全ということではなさそうです。

一般的に米国の金融引き締め局面では新興国投資は避けるべきだと言われています。たとえば、つい最近だとアルゼンチンは政策金利が40%まで上昇しましたし、トルコも通貨リラと国債は過去最安値を更新したそうです。

次の暴落局面でも普通に新興国のほうが下がるのかもしれません。

ITバブル前後

ついでなので、ITバブル前後の高値(2000年3月)と底値(2002年9月)のCAPEレシオを比較してみます。表は2000年3月時点のCAPEレシオの昇順です。
※新興国株は1990年代後半からEPSの算出が始まっているようで、2000年のCAPEレシオのデータはありませんでした。
※ITバブル時の最大ドローダウンはすぐには出てこなかったので省略しています。


CAPE
(現在)
CAPE
('00年3月)
CAPE
('02年9月)
CAPE変化率
香港18.622.010.4-52.7%
オーストラリア17.022.818.8-17.5%
英国13.724.713.6-44.9%
ヨーロッパ16.233.515.8-52.8%
欧州、豪州、極東17.537.218.2-51.1%
スペイン12.439.415.4-60.9%
先進国23.140.919.0-53.5%
米国大型株32.143.222.4-48.1%
スイス23.743.822.0-49.8%
米国小型株61.747.227.6-41.5%
イタリア15.250.422.1-56.2%
カナダ19.751.124.7-51.7%
フランス19.354.422.3-59.0%
ドイツ18.256.116.5-70.6%
日本26.068.257.0-16.4%
スウェーデン19.974.816.4-78.1%


2000年3月と比べても、やはり現在のCAPEレシオは全体的に割安です。現在のほうが高いのは米国小型株のみです。


リーマンショック、ITバブル前のCAPEレシオから考えると、現在は米国以外はそれほど割高でもないのかなと思いました。ただ、低CAPEだからと言って将来のドローダウンが小さいとも言えなさそうですし、先進国ならドル建てで60%程度、新興国なら70%程度の暴落は普通にあることとして考えておいたほうが良さそうですね。


5 件のコメント :

  1. とうしろ個人投資家2018年5月12日 17:31

    優れた分析でとても参考になりました。USA、世界の次のリセッション、暴落の発生が待ち遠しいです。2年以内に次のリセッション、暴落は発生しますでしょうか?

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    1. リセッションの1年程度前に株価下落が始まるそうなので2年以内には下がるような気がしますが…どうなるんでしょうね。
      私は景気循環を予測して売買するのは難しいと思っているので、次のリセッション時期を考えずにバイ&ホールドする方針です。

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    2. とうしろ個人投資家2018年5月13日 9:00

      前回の金融危機後の米国株が割安の時に米国株を買った方は、次のリセッションで多少含み損が発生しても、バイ&ホールドする方針で長期的には十分に利益が得られると思います。しかし、とうしろのように最近、米国株が割高のときに米国投資を開始した者は、戻り高値で適当な利益で米国株を全て売却し、今後は米国債券(ETF)に全額回し、残りは現金で保有し、次のリセッションを楽しみに待つ、という方針がよいと判断しました。どうでしょうか?

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    3. 私はタイミング投資が難しいと思っているので、買った時期や含み損益に関わらずホールドの方針です。
      暴落待ちをしていても思うほど下がらない可能性もありますし…
      ただ、もし私が近いうちに暴落が来ると確信していたら、ドル建ての米国債の上昇よりもドル円の下落のほうが大きそうなので、米国債よりも日本円で持っておくかもしれません。

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    4. とうしろ個人投資家2018年5月13日 12:04

      ご指摘、ありがとうございました。今後の投資方針に活用していきたいと思います。

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