米国と日本の実質長期金利推移


米国の実質長期金利推移

実質長期金利は名目長期金利(10年国債利回り)からインフレ率を引いて計算します。
 ※10年国債利回りとインフレ率はどちらもmultpl.comのデータを使用しています。

まずは全期間(1872年1月~2018年9月)の実質長期金利推移です。
この期間では、最小値が-18.65%、最大値が24.00%、中央値が2.36%、平均値が2.32%でした。

1920年頃までは変動が激しすぎてよく分からないことになっています。この間の長期金利は3%~5.5%程度とそれほど大きく動いていませんが、インフレ率は-20%~20%と凄まじく変動が大きかったようです。

もう少し見やすくするために期間を1950年1月~2018年9月にしてみます。
この期間では、最小値が-6.78%、最大値が9.34%、中央値が2.27%、平均値が2.16%でした。

1983~1984年あたりはすごいことになっていますね。これだけ高かったら喜んで米国債を買うと思います。

最近は長期金利上昇でやっとプラス圏になりましたが、それでも現時点で0.80%なので過去と比べると大幅に低いです。

私はちゃんと理解できていませんが、債券リターンはクーポン(利子)で得られるリターンだけでなく、金利変化やロールダウン効果によるリターンもあります。そのため実質長期金利がそのまま実質リターンになる訳ではありませんが、個人的には今の水準での米国債投資は微妙かなと思っています。

今のところ米国債への投資は考えていませんが、過去平均から考えて実質長期金利が2%超になったら検討してみたいと思います。 

日本の実質長期金利推移

先ほどと同じく、名目長期金利(10年国債利回りと9年国債利回り)からインフレ率を引いて計算しました。10年国債利回りは1986年以降のデータしかないので、より長期(1974年以降)のデータがある9年国債利回りも併せて見てみます。
 ※国債利回りは浜町SCI、インフレ率は2015年基準消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合指数 前年同月比)を使用しています。

まずは9年国債利回りを使った場合の実質長期金利推移(1974年9月~2018年9)です。
この期間では、最小値が-17.98%、最大値が6.97%、中央値が1.99%、平均値が1.85%でした。

オイルショックの頃は9年国債利回り8%超、インフレ率20%超とかだったんですね。今の日本からはちょっと想像つかないです。

次に10年国債利回りを使った場合(1986年7月~2018年9月)です。
この期間では、最小値が-3.84%、最大値が6.65%、中央値が1.90%、平均値が1.87%でした。

日銀が異次元金融緩和を始めてからはほとんどマイナス圏になってしまっています。実質金利がマイナスのうえ、金利の低下余地もほとんどなく、イールドカーブもフラット化していてロールダウン効果によるリターンもあまり望めないでしょうし、日本国債のリターンはほとんど望めなさそうですね。(債券投資のことはほとんど理解できていないので適当ですが…)

平均値では1.90%なので米国とそれほど大きな差はないように思えます。

米国と日本の名目・実質長期金利の比較

最後に日米の名目・実質長期金利を比較してみます。(期間は1986年7月~2018年9月)

まずは名目長期金利の比較です。
名目長期金利は全期間で米国>日本ですが、インフレ率も米国>日本なので、実質金利だと以下のようになります。
一時的に乖離している時期もありますが、ほとんど同じような動きをしていますね。

新興国債券は信用リスクが高いのでまた違った結果になるはずですが、信用リスクが低い先進国債券なら似たような感じになるんじゃないかなと思います。

日本人投資家としては為替リスクがない日本国債を選ぶのが通常は正しいはずです。外国債券不要論はよく言われますよね。ちなみに私は昔よく分からないまま高金利に釣られてブラジル国債で大損したことがあります。

ただ、1990年代後半や2013年以降など日本だけ実質長期金利が大幅に下がっている時期もありますし、債券投資をする場合は実質金利をチェックする必要があるかなと思っています。


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