(私が好んでいるDGS(ウィズダムツリー 新興国小型株配当ファンド)は金融セクター比率控えめですが…)
そこで新興国株のなかでも業績が安定していて、かつ人口増加の恩恵を受ける生活必需品セクターにもサテライト的に投資していきたいなと思っています。
ただ、MSCI Emerging Markets Consumer Staples Indexという新興国生活必需品セクターの指数はあるのですが、これに連動するETFは存在しないようです。
新興国株の一般消費財・生活必需品セクターに投資するECON(コロンビア新興国市場コンシューマーETF)というETFはあるようですが、これはSBI証券等では取扱いがありませんし、個人的には一般消費財よりも生活必需品セクターに投資したいです。
ということで、今回はMSCI Emerging Markets Consumer Staples Index組入銘柄のABEV(アンベブ)とFMX(フォメント・エコノミコ・メヒカノ(FEMSA))について調べてみました。
FMX(フォメント・エコノミコ・メヒカノ)
FMX(FEMSA)はメキシコの飲料会社です。アンベブは有名だと思いますが、FEMSAという企業の存在は今まで知りませんでした。Morningstarによると、PER17.43、予想PER21.01、配当利回り1.60%です。
FMXは持株会社として、Coca-Cola FEMSA(コカ・コーラのフランチャイズボトラー)の株式の47.2%、FEMSA Comercio(メキシコ最大のコンビニチェーン「OXXO」、薬局、ガソリンスタンド等を運営)の株式の100%、オランダのビール大手ハイネケンの株式の14.8%を保有しています。
出典:FEMSA
2017年では売上の43%、営業利益の63%をCoca-Cola FEMSAが稼いでいます。Coca-Cola FEMSAだけに投資したい場合はKOFというADRがありますが、成長率はFEMSA Comercioのほうが高いので私はFMXのほうが良いかなと思います。
出典:FEMSA
メキシコだけでなく、ブラジル、コロンビア、アルゼンチン、ベネズエラ、チリ、パナマ、コスタリカ、フィリピン、グアテマラ、ニカラグアと幅広い地域で事業を行っています。
出典:FEMSA
また、バロンズの新興国ラウンドテーブルでは、OXXOについて「コンビニの店舗を配送センターとして利用しており、メキシコ最大の物流会社となる可能性がある」と書かれていました。メキシコペソ建ての売上高は過去10年では年率12.1%で成長しています。ただし、メキシコペソ/米ドルは2007年には0.092だったのが2017年には0.053と10年間で42%下落しているので、米ドル換算の成長率は年率6%になります。
(2017年には保有するハイネケン株の1/4を売却しており、たぶんこのために純利益が急増していますが、EPSもだいたい同じペースで成長しています。)
過去5年平均の粗利益率は39.6%、営業キャッシュフローマージンは11.7%、ROICは9.4%、ROEは11.9%です。
ジェトロのサイトによると、メキシコ株の配当の現地源泉税率は15%だそうです。米国株の10%に比べると高いですが、スイス株の35%やベルギー株の30%などと比べると許容範囲です。
(過去記事:外国株の現地源泉徴収税率)
年間配当(米ドル)の推移は以下のようになっています。2013年までは順調に増配が続いていましたが、最近はメキシコペソ安のために停滞しています。増配率は過去19年で年率14.2%、過去10年では年率12.6%です。
また、ADR手数料は直近数回の配当ではゼロでした。
(過去記事:ADR手数料を調べる方法)
ABEV(アンベブ)
ABEV(アンベブ)はラテンアメリカ最大のビール会社で、BUD(アンハイザー・ブッシュ・インベブ)の子会社です。Morningstarによると、PER22.76、予想PER16.37、配当利回り5.02%です。
BUDはベルギー株なので現地源泉税率が30%徴収されてしまうのに対して、ABEVはブラジル株なのでジェトロによると12.5%で済むはずです。
ブラジルレアル建ての売上高は過去10年では年率9.3%で成長しています。ただし、ブラジルレアル/米ドルは2007年には0.56だったのが2017年には0.30と10年間で46%下落しているので、米ドル換算の成長率は年率2.7%になります。
過去5年平均の粗利益率は65.0%、営業キャッシュフローマージンは40.1%、ROICは24.9%、ROEは25.1%です。BUDは粗利益率60.6%、営業キャッシュフローマージン28.8%、ROIC9.3%、ROE16.2%なので、ABEVのほうが高収益ですね。
配当と自社株価いは以下のようになっています。IOCは"Interest on Capital"の略のようで、たぶん配当と同じものとして考えておいて良さそうです。ブラジルレアル建ての配当もあまり安定していないようです。
出典:Ambev
また、ADR手数料は直近数回の配当ではゼロでした。
FMXとABEVのパフォーマンス比較
FMXとABEV、新興国株ETFのEEM、S&P500のパフォーマンスを比較してみました。期間は2003年5月~2018年9月です。安定感でいうとFMXですが、最近株価が低迷しているABEVも気になるところです。
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