米国の企業利益と名目GDP、先進国と新興国のEPSと名目GDPについては以前記事にしており、両者の成長率はだいたい一致していました。
(過去記事:米国の企業利益成長率と名目GDP成長率の関係)
(過去記事:先進国と新興国のEPSと名目GDPの関係)
先進国各国の実質EPS成長率と実質GDP成長率
今回は先進国各国の実質EPS成長率と実質GDP成長率を比較してみたいと思います。まず、EPS成長率はStarCapital AGの「Predicting Stock Market Returns Using the Shiller-CAPE(PDF)」に載っている、現地通貨ベースの実質EPS成長率(幾何平均)を使いました。期間は1969年~2015年です。
出典:StarCapital AG
実質GDP成長率はWorld Bankの「GDP (constant LCU) (現地通貨ベースの実質GDP)」を使って、同期間の幾何平均成長率を計算しました。
(今まで実質/名目を表す英単語はreal/nominalしか知りませんでしたが、constant/currentとも言うことを今回初めて知りました。現地通貨ベースの名目GDPはGDP [current LCU]、米ドルベースの名目GDPはGDP (current US$)、米ドルベースの実質GDPはGDP (constant 2010 US$)です。)
計算した1969年~2015年の実質EPS成長率と実質GDP成長率を比べると以下のようになります。
(表はEPS成長率とGDP成長率の差の降順です。ドイツとフランスはGDPのデータがありませんでした。)
スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、イタリアはEPS成長率>GDP成長率ですが、それ以外の国ではGDP成長率のほうが高いです。
このEPS成長率はその国全体の企業利益成長率ではなくMSCI指数の成長率なので、46年間という長期でみてもGDP成長率と一致しなくてもおかしくはないのかもしれません。
StarCapital AGによると、たとえばMSCIデンマークの構成銘柄数は1994年の20超から2011年には11まで減少しており、同期間でヘルスケアセクターのウェイトは10%から60%に増加したそうです。
(この増分の大部分はノボ・ノルディスクなんじゃないかと思います。)
このように指数の構造が大きく変化している場合は利益成長率とGDP成長率を同じものとして考えることはできなさそうですね。
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