PERは以下の式で表すことができるため、長期金利上昇はPERの縮小(=株価下落)、長期金利低下はPERの拡大(=株価上昇)に繋がります。
PER=1/(割引率-成長率)
=1/(長期金利+リスクプレミアム-成長率)
米長期金利と米国株(S&P500)の推移
まずはmultpl.comの時系列データを使って、1871年~2018年の米長期金利(米10年国債利回り)とS&P500(インフレ調整後)の推移をグラフ化してみます。※今回使用するデータはすべてmultpl.comのものです。
このグラフでは期間が長すぎて分かりにくいので、長期金利の上昇・低下局面を以下の5つのサイクルで区切ってS&P500のリターンを計算してみます。
長期金利上昇局面におけるS&P500(インフレ調整後)
1900年12月〜1921年1月のS&P500(インフレ調整後)は年率換算で-4.29%でした。1941年1月〜1981年9月は年率換算で+1.31%でした。
長期金利下落局面におけるS&P500(インフレ調整後)
1873年1月〜1900年12月のS&P500(インフレ調整後)は年率換算で+3.01%でした。1921年1月〜1941年1月は年率換算で+3.52%でした。
1981年9月〜2016年7月は年率換算で+5.76%でした。
各期間のS&P500の実質トータルリターン比較
先ほど計算した実質キャピタルゲインをもとに、大雑把に実質トータルリターンを計算して表にまとめてみました。※ここでは、実質トータルリターン=実質キャピタルゲイン(インフレ調整後S&P500の年率換算騰落率)+インカムゲイン(月次の配当利回りの平均値)として計算しています。
全期間の実質トータルリターンは6.73%ですが、長期金利低下局面ではどれも8%台と高いです。
一方、長期金利上昇局面は1900年12月〜1921年1月の約20年間で0.98%、1941年1月〜1981年9月の約40年間で5.72%です。
1941年1月~1981年9月はまずまずのリターンに見えますが、金利上昇が加速した後半20年間(1961年5月~1981年9月)では実質キャピタルゲインが-2.74%、インカムゲイン(平均配当利回り)が3.71%、実質トータルリターンが0.97%とかなり低くなります。長期金利の影響は大きいです。
約20年間S&P500を保有して実質リターンが1%未満というのは結構辛いものがありますね。実際には税金や手数料でリターンはもう少し下がるはずですし。
長期金利は2016年で底打ちして今後反転上昇していくのか、あるいはまだ低下局面が続くのか、とても気になりますね。
最悪の想定として、今後20年間程度に渡って長期金利上昇が続き、実質リターンが0%台にとどまる可能性もあると覚悟しておいたほうが良いのかもしれません。
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