中国の実際のGDP成長率


バリュエーションは低いほど、成長率は高いほど、株式の期待リターンは高くなります。
(過去記事:実質期待リターン=株式益利回り+実質GDP成長率

投資する国を選ぶ際、低バリュエーションを基準にすればロシア、高成長率ではインドがまず思い浮かびますが、ロシアは人口減少国のため成長率が低く、インドはバリュエーションが高いです。

低バリュエーションと高成長率の両方を満たしている国としては、まず中国が挙げられるかと思います。

StarCapital AGによると、 2018年12月末時点の中国のPERは6.7、CAPEレシオは13.9と低いです。実質GDP成長率も鈍化傾向ではありますが、それでも主要国のなかでは高成長です。
出典:IMF

中国の実際のGDP成長率

李克強指数

ただし、中国のGDP成長率は水増しされているので参考程度にしかならないという話はよく耳にします。

「李克強指数」は有名ですが、これはサービス産業の動向が反映されにくいため、今の中国経済全体を判断するのには役に立たないという指摘もあるそうです。
李克強指数(りこっきょうしすう)
中華人民共和国第7代国務院総理の李克強が総理に就任する前、遼寧省の幹部だった2007年に国内総生産(GDP)よりも信頼できる数値として挙げた「電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資残高」の3つをもとに作られた中国の経済指標。2010年イギリスの「エコノミスト」紙によって名付けられた。「チャイナ・モメンタム・インジケーター」とも言われている。
引用:野村証券 証券用語解説集

夜間照明からの推計

人工衛星によって撮影された夜間照明を分析してGDP成長率を推計する方法もあるようです。

Yingyao Hu氏の論文「Illuminating Economic Growth(PDF)」によると、中国の公式GDP成長率は夜間照明を基にした成長率に比べてかなり誇張されているようです。
(論文PDFはうまくGoogle翻訳できないので私にはグラフしか読めません。)

ブラジルと南アフリカは概ね一致していて、インドは少しだけ差がありますが、中国の差はかなり大きいです。
出典: Illuminating Economic Growth(PDF)

中国の公式GDP成長率は1992-2008年には1.9ポイント、2009-2013年には3.4ポイント、2014-2017年には1.5ポイント高くなっています。
出典: Illuminating Economic Growth(PDF)

夜間照明を基にした推計でも高成長率であることには違いありませんが、公式GDP成長率はやっぱり割り引いて考えておいたほうが良いのかなと思います。


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