買った当時は全くお金について興味がなかったのですが、1ドル80円台はかなり円高という認識はありました。外貨建てのものを買ったら儲かるんじゃないかと思っていたところ、ブラジル国債が利回り10%ということを知ってほぼ全財産を突っ込みました。
利回り10%に加え、ブラジルレアルは1990年代後半には100円超だったのが、2010年頃には50円程度にまで下がっていたので、何となく米ドルとかよりも値ごろ感があるんじゃないかと思っていたんですよね。
実際にはお金の価値はインフレで減価していくため、高金利=高インフレ国の通貨は低金利=低インフレ国の通貨よりも下がりやすいです。ブラジルレアル円は買った後も右肩下がりで下がり続け、現在は20円台後半で推移しています。
(私は2018年1月に売却したので現在は保有していません。)
出典:世界経済のネタ帳 |
高インフレの新興国通貨は対円や対ドルではどれも似たようなチャートになっていることが多いので、通貨の水準をみるためには二国間の名目為替レートではなく、インフレ率を加味した多国間の実質実効為替レート(Real Effective Exchange Rate)を確認する必要があると思います。
実質実効為替レートはBIS(国際決済銀行)で確認することができ、61カ国の通貨に対して作成されるBroadベースと27カ国のNarrowベースの2種類があります。
1993年以前はBroadベースのデータが存在しないのでNarrowベースをみる必要がありますが、私は国数が多いBroadベースをよくみています。
たとえば、2010年のブラジルレアルの実質実効為替レートは100.00で、1994年1月~2009年12月の平均値77.48に比べて約29%割高でした。名目為替レートを眺めていると売られ過ぎかなと勘違いしてしまいますが、インフレ率を加味すると過去と比べてかなり高い水準にあったことが分かります。
このチャートを見ていたら当時の私でもたぶんブラジル国債を買わなかったんじゃないかなと思います。
(私の場合は新興国の単一国に全財産を突っ込んでいる時点でまず間違っているのですが…)
世界各国の実質実効為替レートと過去平均からの乖離率
参考までに現在の世界各国の実質実効為替レート(Broadベース)と過去平均値からの乖離率を表にまとめてみました。期間は1994年1月~2019年2月です。グラフ化すると以下のようになります。
日本、トルコ、スウェーデン、メキシコ、英国、南アフリカ、マレーシアは平均値よりも10%以上低く、中国、チェコ、タイは10%以上高いです。
過去平均と比べて最も低い日本円の時系列チャートは以下のようになっています。日本円は購買力平価でみても割安ですし、リスクオフ時には円高になりやすいので、現時点では円預金は良い投資先と言えそうです。
(私はほとんど持っていませんが…)
次いで低いトルコリラです。トルコ株は株式のバリュエーションも非常に魅力的ですが、通貨もかなり安く見えます。一時期トルコ株ETF(TUR)に投資していて、高インフレと経常赤字が気になって一旦売却しましたが、このところの下落でまた気になりだしています。
過去平均と比べて最も高い人民元は以下のようになっています。これだけ見ればかなり割高に見えますが、人民元は1980~1994年の間に対ドルで82.6%の大幅な元安になっており、スタート時点の1994年はかなり過小評価されていたことを考慮する必要がありそうです。
(人民元は購買力平価でみれば大幅に割安ですが、中国に限らず所得水準の低い新興国では為替レートが購買力平価よりも安くなっているので、購買力平価をもって人民元が割安とは言えないようです。)
米ドルは以下のようになっています。こちらはドル高→ドル安→ドル高と推移してきていて、現在はかなり高値圏にあります。
単純に過去平均と比較するだけでは判断できない場合もありますが、個別国に投資する際には通貨の実質実効為替レートも確認してみたほうが良いんじゃないかなと思っています。
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