米国と日本のREITと不動産デベロッパー、建設会社について


先日、VNQ(バンガード不動産ETF)とVNQI(バンガード・グローバル(除く米国)不動産ETF)についての記事を書きました。
(過去記事:【REIT ETF】VNQとVNQIはサブセクターの差が大きい

米国のVNQはREITばかりですが、VNQIは日本の三菱地所、三井不動産、住友不動産、香港の新鴻基地産発展(サンフンカイ・プロパティーズ)など、住宅やオフィスビル、商業施設、ホテルを開発する総合不動産デベロッパーが上位に入っています。

これは以前から少し疑問に思っていたのですが、米国は不動産市場の規模の割に日本のような大手上場不動産デベロッパーがあまりないようです。

REITの市場規模が大きい米国では日本のような総合不動産デベロッパーの存在意義があまりないということなんでしょうか。

そこで今回は米国と日本の不動産デベロッパーとREITについて調べてみました。

米国と日本の上場不動産デベロッパーと建設会社

まず米国の上場不動産デベロッパーをざっと調べてみたところ、一番大きそうなのはHHC(ハワード・ヒューズ)ですが、時価総額は4,800億円(43.8億ドル)程度で、三菱地所(時価総額2.9兆円)、三井不動産(2.6兆円)、住友不動産(1.9兆円)、新鴻基地産発展(5.1兆円(3,649億香港ドル))などと比べるとかなり小規模です。

HHCの次はALEX(アレクサンダー&ボールドウィン)が時価総額1,900億円(17.1億ドル)で、LGIH(LGIホームズ)が1,800億円(16.8億ドル)程度です。

日本では大手マンションデベロッパー7社(住友不動産、三菱地所レジデンス、三井不動産レジデンシャル、野村不動産、東急不動産、東京建物、大京)はメジャーセブンと呼ばれ、全国のマンション供給の1/3程度を占めているそうですが、米国ではそういった大手デベロッパーの存在感が薄いんでしょうか。

ちなみにゼネコンについては米国には世界最大のベクテル社がありますが、これは非上場企業なので日本ではあまり知名度がなく、日本語でググると陰謀論的な話がたくさん出てきます。
(非上場の巨大企業は情報が少ないからか、穀物メジャーのカーギルやコングロマリットのコーク・インダストリーズなど、陰謀論が語られがちな気がしますね。)

上場している大手建設企業ではDHI(DRホートン)が時価総額1.9兆円(171.5億ドル)、LEN(レナー)が1.8兆円(168.9億ドル)、NVR(NVR)が1.3兆円(124.2億ドル)で、これは日本のスーパーゼネコン大成建設(時価総額9,100億円)、鹿島建設(8,000億円)、大林組(7,500億円)、清水建設(7,200億円)よりも大規模です。

REITの内部運用と外部運用について

三井住友トラスト基礎研究所のレポート(PDF)によると、米国や欧州、香港ではREIT自身が不動産運用を行う「内部運用」や開発行為が認められているのに対して、日本のREITは不動産運用を外部の運用会社(スポンサー企業)に委託する「外部運用型」でREITによる開発行為が認められていないんだそうです。

日本のREITの場合、例えば日本ビルファンド投資法人は三井不動産、ジャパンリアルエステイト投資法人は三菱地所、野村不動産マスターファンド投資法人は野村不動産がスポンサー企業となっていて、不動産運用や取得などを行っています。

ちなみに、このスポンサー企業から物件を取得するという構造は「利益相反が起こりやすいため、日本のREITはスポンサーが要らない物件を投げ込んでいくゴミ箱と化している」という話を昔聞いたことがあって投資対象として微妙なのかなと思っていたことがありましたが、最近読んだニッセイ基礎研究所のレポート(PDF)によるとゴミ箱説は必ずしも正しい訳ではないようです。

不動産価格が高値圏(2007~2008年)にあった時期にJ-REITが取得した不動産について、「利害関係者取引(スポンサー等からの取得)」と「一般取引(競争入札等からの取得」に分けて、アセットタイプ別(オフィスビル、商業施設、住宅)にその後の収益動向(キャピタル収益とインカム収益)を調査すると、いずれにおいても利害者関係取引のほうが下落率が小さかったそうです。スポンサーからの取得は利益相反の懸念はありつつも、不動産価格が割高な時期ではメリットが大きいのかもしれません。

出典:ニッセイ基礎研究所

REIT転換の仕組み

また、米国では事業会社がREITに転換する仕組みがあり、たとえば無線通信タワーを所有・運営するAMT(アメリカン・タワー)とCCI(クラウン・キャッスル・インターナショナル)はそれぞれ2012年、2014年にREITに転換しています。

MCD(マクドナルド)も保有不動産をREITとしてスピンオフすればいいのではという話が持ち上がっていた時期があるそうです。MCDはREIT転換せずにフランチャイズ化を推し進めて素晴らしいパフォーマンスを上げていますし、他にも転換しなくて良かったという例はたくさんありそうですが、一般的にはREIT転換すれば法人税が免除され、PERも高くなるはずなので好まれるのかもしれません。


米国ではREITの内部運用や事業会社のREIT転換が認められているのでREITの存在感がかなり大きくて、日本のような大手不動産デベロッパーがあまりないということなんでしょうね。

日本も今後は上場不動産デベロッパーがREIT転換していったりするんでしょうか。


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