生活必需品株のディフェンシブ性について:主要銘柄のPER推移


生活必需品セクターはディフェンシブ株として人気ですが、公益セクターと違って海外売上比率が高く、貿易戦争の影響を受けやすいために以前と比べてディフェンシブ性を失っているという記事も目にします。

また、2017年頃のピークからはやや落ち着きましたが、最近の生活必需品銘柄のPERは成長率から考えるとやや割高なように思えます。

いくら不況下で業績が安定しているといっても、PERが高すぎると次の下落相場では今までのようにディフェンシブ性を発揮してくれないかもしれません。

ということで、今回は米国生活必需品セクター主要銘柄のPER推移をチェックし、リーマンショック前と比べて現在の水準がどれくらい割高or割安なのかを調べてみました。

米国生活必需品セクター主要銘柄のPER推移

VDC(バンガード・米国生活必需品セクターETF)の上位10銘柄(2019年3月末時点)と、あとは私の保有銘柄(MKC、GIS、HRL、ADM、TAP、STZ)のPER推移を調べてみました。チャートはZacksのものです。
(過去記事:ファンダメンタルチャートが無料で見られるサイト

PG(プロクター・アンド・ギャンブル)

リーマンショック前後では約23.6→約12.7で46%ほど縮小しています。

現在はリーマンショック前のピーク時よりも8%ほど高い水準にあります。

KO(コカ・コーラ)

リーマンショック前後では約24.1→約12.4で49%ほど縮小しています。

現在はリーマンショック前のピーク時とほぼ同水準です。

PEP(ペプシコ)

リーマンショック前後では約23.8→約12.8で46%ほど縮小しています。

現在はリーマンショック前のピーク時とほぼ同水準です。

WMT(ウォルマート)

リーマンショック前後では約18.6→約11.5で38%ほど縮小しています。

現在はリーマンショック前のピーク時よりも21%ほど高い水準にあります。

PM(フィリップ・モリス・インターナショナル)

PMはスピンオフが2008年3月なのでリーマンショック前後のPERの縮小率を計算することはできませんが、底値付近ではPER10程度まで下がっていたようです。

MO(アルトリア・グループ)

PMのスピンオフで2008年頃のチャートがおかしくなっていますが、実際のリーマンショックの底値付近のPERは10程度だったようです。

リーマンショック前のピーク時のPERは約18だったので、リーマンショック前後では44%程度縮小しています。

現在はリーマンショック前のピーク時よりも29%ほど低い水準にあります。

COST(コストコ・ホールセール)

リーマンショック前後では約26.4→約14.0で47%ほど縮小しています。

現在はリーマンショック前のピーク時よりも27%ほど高い水準にあります。

MDLZ(モンデリーズ・インターナショナル)

リーマンショック前後では約26.4→約14.0で47%ほど縮小しています。

現在はリーマンショック前のピーク時よりも27%ほど高い水準にあります。

CL(コルゲート・パルモリーブ)

リーマンショック前後では約24.8→約14.5で42%ほど縮小しています。

現在はリーマンショック前のピーク時とほぼ同水準です。

WBA(ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス)

リーマンショック前後では約23.3→約10.4で55%ほど縮小しています。

現在はリーマンショック前のピーク時よりも63%ほど低い水準にあります。

MKC(マコーミック)

リーマンショック前後では約20.8→約13.3で56%ほど縮小しています。

現在はリーマンショック前のピーク時よりも47%ほど高い水準にあります。

HRL(ホーメル・フーズ)

リーマンショック前後では約19.3→約12.8で34%ほど縮小しています。

現在はリーマンショック前のピーク時よりも20%ほど高い水準にあります。

GIS(ゼネラル・ミルズ)

リーマンショック前後では約18.9→約12.3で35%ほど縮小しています。

現在はリーマンショック前のピーク時よりも10%ほど低い水準にあります。

ADM(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)

リーマンショック前後では約19.2→約4.1で79%ほど縮小しています。ADMは穀物メジャーなので他の生活必需品セクターとはちょっと違いますね。

現在はリーマンショック前のピーク時よりも34%ほど低い水準にあります。

TAP(モルソン・クアーズ・ブリューイング)

リーマンショック前後では約20.8→約10.2で51%ほど縮小しています。

現在はリーマンショック前のピーク時よりも48%ほど低い水準にあります。

STZ(コンステレーション・ブランズ)

リーマンショック前後では約18.4→約6.8で63%ほど縮小しています。

現在はリーマンショック前のピーク時よりも9%ほど高い水準にあります。

まとめ

現在の生活必需品株のPERはリーマンショック前のピーク時と比べて高くなっているものが多いです。

PERが高くなっている上に、プライベートブランドの台頭、グローバリゼーションの反転、ミレニアル世代の健康志向、嗜好の多様化など、リーマンショック前と比べると生活必需品セクターの状況は悪化しているように思えます。

現在のPERのほうが低くなっているのはMO、WBA、GIS、TAPですが、これらは他の銘柄よりも置かれている状況が厳しそうに思えます。タバコとビールは衰退産業ですし、ドラッグストアもAmazonの参入でどうなるのかよく分かりません。GISはある程度ディフェンスしてくれるんじゃないかと思っているのですが…

MKCは長期的には強気ですが、PERが高すぎるのでやはり次の下落相場ではそれなりに下げそうな気がします。

たとえば先日記事を書いた害虫駆除会社ROL(ローリンズ) のように、いくら不況耐性があって安定的に高成長を続けていたとしても、PERが高すぎると業績はディフェンシブでも株価は全然ディフェンシブではないんじゃないかなと思うんですよね。
(過去記事:高PERの害虫駆除会社ROL(ローリンズ)

私は生活必需品株を多く保有していますが、今までよりも安定成長が見込みにくくなっていることとPERが高いことを考えると、今後は今までのようなディフェンシブ性を期待することはできないんじゃないかなと思っています。


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