【リターン分布の歪み】ほとんどの銘柄は市場平均を下回る


2017年のバロンズで、「1926年以降の米国株式市場における全ての投資の投資リターンは、パフォーマンス上位4%の銘柄によるもの」だったという記事がありました。

この記事によると、株式のリターン分布は左右対称の正規分布ではなく、プラス寄りに大きく偏っているそうです。平均を下回る銘柄のほうが多い一方で、平均を上回る銘柄のなかには超高リターンの銘柄が存在し、これが平均値を引き上げているということです。

このことをリターンのスキュー(歪み)と言うそうです。

リターンを得るためにはスキューの高い、超高リターンの銘柄をうまく保有できるかどうかが重要になるため、集中投資は失敗する可能性が高く、また時価総額加重よりも均等加重のほうが有利ということになります。
(過去記事:上位4%の銘柄を保有していないとリターンは得られない

グローバル株式のリターン分布(1990~2018年)

下グラフは1990~2018年のグローバル株式(米国と米国外)約62,000銘柄のリターン分布です。

かなりの銘柄がマイナスリターンで、特に米国の約9%、米国外の約5.5%は-100%となっている一方で、一部の超高リターンの銘柄が市場平均を牽引していることが分かります。

出典:Alpha Architect

さらに、グローバル株の投資リターンはパフォーマンス上位1.33%(811銘柄)によるもので、米国短期国債(1カ月物)をアウトパフォームしたのは僅か40.5%(米国では43.7%、米国外では39.3%)しかないそうです。

1926年以降の米国株ではパフォーマンス上位4%によるものでしたが、1990~2018年のグローバル株ではさらに極僅かの銘柄しかリターンを生まなかったようです。

バロンズの記事でも「小型株のパフォーマンスは少数の銘柄に牽引される傾向が大型株よりもはるかに強い」と書かれていたので、大型株のみを抜き出してみるともう少し分布は均質になるかもしれません。

S&P500構成銘柄のリターン分布(1997~2017年)

下グラフは1997~2017年のS&P500構成銘柄のリターン分布です。

大型株に限っているためか、先ほどの全銘柄のものと比べると歪みが小さいですが、それでも平均値227%に対して中央値50%とかなりの開きがあり、平均値は一部の超高リターン銘柄によって牽引されていることが分かります。

出典:Indexology Blog

効率性の低い市場ほど均等加重ETFが良いのでは

これらのデータを見る限りでは、小型株や新興国株のような効率性の低い市場ほどリターン分布の歪みが大きくなり、均等加重ポートフォリオが有利になりやすいんじゃないかなと思います。

ただ、米国株ではRSP(インベスコS&P500イコールウェイトETF)というETFがありますが、米国外ではなかなか良いものが無さそうです。

ETF.comで均等加重ETFリスト(AUM順)を見てみると、RSP以外はバイオテクノロジーや銀行、石油などセクターETFが主のようです。

出典:ETF.com (Equal-Weighted ETF Overview)

VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)の均等加重版みたいなものがあったらいいのになあと思いましたが、流動性の低い銘柄があると均等加重は難しそうですし作れないのかもしれませんね。

グローバル優良株に投資するDGT(SPDR Global Dow ETF)やブラジル・中国・インド・韓国に投資するBICK(First Trust BICK Index Fund)というETFもありますが、いずれも設定来でVT、VWOをアンダーパフォームしています。

あとは個人的には生活必需品ETFのRHS(Invesco S&P 500 Equal Weight Consumer Staples ETF)が少し気になりました。実用的なのはInvesco S&P 500 Equal Weightシリーズくらいかもしれません。





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コメント

  1. 結局、素人が着実にインデックスファンドを買い続けた方が
    平均点以上の成果を出せるみたいな宣伝が現在多いのですが、
    これは良く分かりませんが、
    出世株は予め予想できないという前提があると思ってました。

    予め、出世する可能性の高い銘柄を選択する方法がもしもあれば、
    内緒ということにはならないでしょうか?

    バフェット自身は多分大きな決定をしていないと思うのですが、
    相当高騰してからアップルやアマゾンを買い始めた印象です。
    バフェット語録は時代背景に従うと思っては居ますが、
    バフェット語録の一つに、買ったら10年放置できる銘柄とかあったと思います。

    クラフトハインツ暴落でバフェット信者の信仰も揺らいでいると思いますが、
    予め、なるべく機械的に実行可能な方法で、良いパフォーマンスを得られるポートフォリオにできる方法はあるとお考えでしょうか。

    結構神学論争みたいな気もしますが

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    1. 個人にも可能な定量的分析でアウトパフォームは厳しいんじゃないでしょうか。
      グリーンブラットの魔法の公式も公表されてからはうまく機能していないという話も聞いたことがありますし・・・

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  2. トランプからFRBへの利下げ脅迫(?)で
    目下、貴金属に投機資金が流入しているのは素人にも分かります。
    貴金属は株式ではないですが鉱山会社は株式です。

    管理人さんはフルインベストメント主義だそうですが、
    トランプが騒いでFRBが自信喪失している間は、
    鉱山系に少し移したりはしないのでしょうか。

    私はハイテクは理解できないという理由が大きくて、
    各種金属の鉱山株は常に何割か持っていてリバランスしてます。
    産油株が配当で人気ですが、前職で割合資源相場は見慣れているせいか、
    産油株と鉱山株は私は同じグループとして見てます。

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    1. 金鉱株は昨年GDXかGDXJを買おうかなと思っていた時期がありましたが、年初来でもうかなり上がっていますし、今から買おうとは考えていません。
      ゴールドは米国の実質金利と逆相関なので、短期的にはもう上がらないんじゃないかなと思っているのもあります。
      景気後退期ではインフレ率の下落で実質金利が上昇し、ゴールドは下落すると思うので、買うとしたらその時期を待ちたいです。

      何も生み出さない現物ゴールドよりは金鉱株を選びますが、ボラティリティが非常に激しいので買うとしたら暴落時に買いたいかなと思います。

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