銘柄によっては配当を受け取る際に高額なADR手数料を徴収されることもありますし、また上場廃止リスク※もあるので注意は必要ですが、手軽に投資することができるので私は割と保有しています。
※最近では英大手通信会社BT(BTグループ)が上場廃止になりました。ロシア最大の携帯電話会社MBT(モバイル・テレシステムズ)も結局は回避されたようですが、今年2月には米国上場を見直すとのプレスリリースが出て株価が急落する場面がありました。
過去記事:ADR手数料を調べる方法
過去記事:【朗報】MBT(モバイル・テレシステムズ)、米国上場を維持
ADR銘柄の株価は理論的には原株式(本国の株式)と同じになるはずですが、需給バランス等があるので完全に一致することはなく、ある程度のプレミアムorディスカウントで取引されていると思われます。
今回はADR銘柄が原株式に対して、どれくらいプレミアムorディスカウントで取引されているのかが気になったので調べてみました。
本当は保有しているADRすべてを調べようかと思ったのですが、面倒なのでイギリスのBTI(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)、メキシコのFMX(フォメント・エコノミコ・メヒカノ(以下FEMSA))、ロシアのMBT(モバイル・テレシステムズ)、インドのHDB(HDFC銀行)の4銘柄に絞りました。
なお、調べた期間は過去5年間で、株価データはYahooFinance、為替データはGoogleFinanceのものを使いました。
BTI(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)のプレミアム/ディスカウント
まずはお馴染みのBTI(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)からです。原株BATS.Lとの交換比率は1:1です。最小値は-6.27%、中央値は-0.01%、平均値は-0.03%、最大値は2.55%となりました。
終値で計算しているので為替が急変したBrexit国民投票のときはディスカウント幅が大きくなっていますが、リアルタイムではこれほど差が広がっていなかったんじゃないかなと思います。
BTIくらいになれば、プレミアム/ディスカウントを気にする必要はなさそうですね。
FMX(FEMSA)のプレミアム/ディスカウント
続いてメキシコ飲料大手FMX(FEMSA)です。原株FEMSAUBD.MXとの交換比率は1:10です。最小値は-7.59%、中央値は-0.06%、平均値は-0.08%、最大値は2.80%となりました。
BTIほどではないですが、FMXもほとんどプレミアム/ディスカウントを気にする必要はなさそうです。
MBT(モバイル・テレシステムズ)のプレミアム/ディスカウント
次はロシア携帯最大手MBT(モバイル・テレシステムズ)です。原株MTSS.MEとの交換比率は1:2です。最小値は-3.83%、中央値は8.44%、平均値は9.13%、最大値は37.98%となりました。
こちらは2015年頃は大幅なプレミアムで取引されていましたが、プレミアム幅は縮小傾向で、現在はほとんど同じくらいになっています。
2019年以降で見てみると、2月に米国上場を見直すとのプレスリリースが出て一気にディスカウントになったあと、10/9に上場を維持するとの報道で再びプレミアムになっているのが分かります。
過去記事: MBT(モバイル・テレシステムズ)が米国上場廃止を検討
過去記事:【朗報】MBT(モバイル・テレシステムズ)、米国上場を維持
HDB(HDFC銀行)のプレミアム/ディスカウント
最後にインド大手銀行HDB(HDFC銀行)です。原株HDFCBANK.NSとの交換比率は1:3です。最小値は7.02%、中央値は16.47%、平均値は17.76%、最大値は30.70%となりました。
HDBは一貫して大幅なプレミアムで取引されています。
足元ではかなり縮小していて、過去5年間で最低水準に近付いていますが、それでも10%ほど割高です。
まとめ
そもそも原株に投資するのが難しいためADRに投資しているという場合がほとんどだと思います。その銘柄に投資したい場合には代替手段がないのでどうしようもないのですが、一応は過去と比べて異常に割高ではないかをチェックしてみると良いかもと思いました。
特に普段は大幅なプレミアムで取引されている銘柄の場合、上場廃止ニュースが出ると一気にプレミアムが剥落して急落する可能性が高いので注意が必要だと思います。
BTIやFMXはほとんど理論株価通りで取引されているので、マイナーな銘柄でない限りはそれほど気にする必要はなさそうですが…
(原株に比べて割安か割高かよりも、その銘柄自体が割安かどうかという問題のほうが圧倒的に大事なので、こんなことを気にする必要はないのかもしれません。)
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