モンテカルロ法によるリタイアシミュレーション


今回はモンテカルロ法によるアーリーリタイアシミュレーションを試してみました。

Portfolio Visualizerのモンテカルロ・シミュレーション

今回使用したのはPortfolio Visualizerのモンテカルロ・シミュレーションです。

条件

とりあえず条件は以下のように設定しました。年間支出額はリタイア時点の資産の2.24%(100.8万円÷4,500万円)で、資産は株式100%という設定です。
(年金等の収入や大病等の突発的な支出は無視しています。)
  • リタイア時点の資産:4,500万円
  • 毎月引き出す金額:8.4万円(年間100.8万円)
  • シミュレーション期間:60年間
  • リターン分布:正規分布 ※1
  • 期待リターン:7%
  • ボラティリティ:20%
  • インフレ率:平均2%、インフレボラティリティ1.31% ※2
※1 正規分布とファットテールのいずれかを選ぶようになっていますが、今回は正規分布にしました。
※2 ヒストリカル・インフレーションを選ぶと平均3.94%、ボラティリティ1.31%になります。これは日本としては高すぎるように思えるのでインフレ率を2%、ボラティリティはよく分からないので同じ1.31%にしました。

myINDEXによると過去30年間の配当込みS&P500のパフォーマンスはリターン8.8%、ボラティリティ18.1%でしたが、今回はとりあえず悲観的にリターン7%、ボラティリティ20%としています。

結果

パーセンタイル毎の結果は以下のようになりました。
(通貨が選べないので米ドルになっていますが、日本円のつもりで設定しています。)
試行回数10,000回のうち上手くいったのは7,145回、破産する確率は28.55%です。思ったよりも破産確率高いですね…

ちなみに40年後の破産確率は16.98%、20年後では1.77%まで下がります。

リターンとボラティリティを変えたときの破産確率

他の条件は元のままで、リターンとボラティリティを変えたときに破産確率がどうなるのかを試してみました。

リターンだけを変えたとき

名目リターンだけを変えたときの破産確率は以下のようになりました。名目リターンの範囲は4%〜11%(実質リターンで2%〜9%)としています。
破産確率はリターン4%では67.1%ですが、6%では40.0%、8%では19.1%、10%では6.2%まで下がります。

ボラティリティだけを変えたとき

ボラティリティだけを変えたときの破産確率は以下のようになりました。ボラティリティの範囲は10%〜25%としています。
破産確率はボラティリティ10%では1.4%ですが、15%では12.0%、20%では28.9%、25%では44.6%まで上がります。

ちなみに実際の円換算S&P500のヒストリカル・ボラティリティはだいたい18%程度です。ボラティリティ18%なら破産確率は21.9%になります。

為替ヘッジについて

前回の記事では円換算の米国株のボラティリティはドル建てと比べてだいたい3〜4%ポイントほど高くなるということを書きました。
 過去記事:【為替ヘッジの必要性】米国株(ドル建て・円換算)の12カ月ローリング・ボラティリティ

為替ヘッジコスト≒日米短期金利差とすると現時点では2%程度になるはずですが、リターンを2%引き下げて3〜4%ボラティリティを抑えた場合を試してみると破産確率は高くなりました。
(たとえば為替ヘッジ無しをリターン9%、ボラティリティ18%とすると破産確率は6.6%になりますが、為替ヘッジ後をリターン7%、ボラティリティ15%とすると破産確率は12.2%に上がります。)

為替ヘッジはヘッジコストがもう少し安くならないと逆効果になりそうな気がしますね。

資産がどれだけあれば破産しないのか

他の条件は元のままで、資産を増やしたら破産確率はどれくらい下がっていくのかを調べてみました。
資産1億円でも破産確率は5.6%、2億円でも1.0%となりました。

開始時点の資産が1億円で年間支出が100.8万円なら、直感的には破産する可能性はほぼゼロなんじゃないかという気がしてしまいますが、リターン7%、インフレ率2%、ボラティリティ20%という条件ではかなり厳しい結果になりますね。

もし私が資産1億以上も持っていたら株式100%にはせず、債券や現預金、ゴールド等に分散投資すると思うので破産確率はほぼゼロになるはずですが…

まとめ

モンテカルロシミュレーションの破産確率はイメージよりもかなり高かったです。

下記記事でも似たようなことを書きましたが、ボラティリティがどれだけ大きな影響を及ぼすかということを再認識しました。
 過去記事:期待リターン(算術平均リターン)と幾何平均リターン

ただし、モンテカルロシミュレーションではバリュエーションに関わらず上昇or下落する確率は一定という前提になっていると思うのですが、実際には平均回帰があるので、下がり続けて割安になったあとには下落確率よりも上昇確率のほうが高くなるはずです。

そのため、現実ではシミュレーションよりももう少し破産確率が小さくなりそうな気がします。

たとえばリタイア時点の株式バリュエーションが歴史的な低水準だったら破産する確率は低くなり、今みたいに割高だったら破産確率は高くなりそうな気がします。
(私にはこういう知識が全くないのでよく分かりませんが…)

いずれにしても私のリタイアについての認識が甘かったことは確かなので、実際にはリタイア目標達成後もしばらくは働き続けるとかはしないといけないだろうなと考えてます。極力働きなくないのですが…


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