FFレートとインフレ率:米ドルMMFの実質利回り


現在のSBI証券で買える米ドルMMFの年率換算利回りは以下の通りです。

出典:SBI証券

米ドルMMFの利回りは米短期金利に連動しますが、MMFの場合は0.66~0.91%の信託報酬(上限)が掛かるため、FFレート(現在は1.50~1.75%)よりも低い利回りとなっています。
 過去記事:SBI証券で買える米ドルMMFの信託報酬比較

そのため、現状では米国のインフレ率を差し引くとマイナスとなってしまっています。

今回はFFレートとインフレ率の推移から、過去の米ドルMMF利回りの実質利回りはどれくらいだったのかを考えてみました。

FFレートとインフレ率の推移

FFレートとインフレ率の推移は以下のようになっています。

出典:FRED

基本的にはFFレート>インフレ率となっていますが、高インフレ期やリーマンショック以降のゼロ金利政策下ではインフレ率>FFレートとなっている時期も結構あります。

FFレートとインフレ率の差

FFレートとインフレ率の差は以下の通りです。

出典:FRED

下表はFFレート-インフレ率の最大値、平均値、最小値、および正と負の期間です。

FFレート
- インフレ率
最大値9.40%
平均値1.24%
最小値-4.97%
正の期間543ヶ月
負の期間240ヶ月

平均値は+1.24%ですが、全体の約31%の期間でマイナスとなっています。

簡易MMF利回りとインフレ率の差

次はMMF利回りとインフレ率の差です。

実際のMMFの利回りはデータが見つからなかったので、
  • 簡易MMF利回り=FFレート - 0.7% ※
として、簡易MMF利回りとインフレ率の差をグラフ化してみました。
※FFレート-0.7%とするとマイナスになる時期もありますが、実際のMMFの利回りはマイナスにはならないはずなので、FFレート-0.7%<0%のときは0%としています。
下表は最大値、平均値、最小値、および正と負の期間です。

簡易MMF利回り
- インフレ率
FFレート
- インフレ率
最大値8.70%9.40%
平均値0.61%1.24%
最小値-5.67%-4.97%
正の期間461ヶ月543ヶ月
負の期間323ヶ月240ヶ月

簡易FF利回り-インフレ率では平均値が+0.61%、全体の約41%の期間でマイナスとなっています。

特に1970~1980年頃やリーマンショック以降ではマイナスの時期が長く続いているため、MMFに投資していると実質ベースではそれなりに目減りしていたことになります。

税金を考慮した場合

さらに、MMFの分配金には税金(20.315%)がかかります。

「税引き後の簡易MMF利回り-インフレ率」の場合は以下のようになります。
税引き後と税引き前を比較してみました。


税引き後税引き前
最大値4.97%8.70%
平均値-0.23%0.61%
最小値-7.28%-5.67%
正の期間376ヶ月461ヶ月
負の期間408ヶ月323ヶ月

税引き後では平均値-0.23%で、全体の52%の期間でマイナスとなっています。2008年以降に限ると平均-1.49%です。

税引き後の米ドルMMF利回りがインフレ率を上回るのは結構厳しそうですね。

日本ではMMFはマイナス金利の運用難で償還されてしまいましたし、預金金利はほぼゼロみたいなもので実質金利はずっとマイナスが続いているので、まだ米国のほうがマシですが…

日本人投資家の場合は為替リスクもありますし、米ドルMMFは一時的な資金の置き場としては良くても、長期保有には向かないなと改めて思いました。


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