世界各国のイールドスプレッド比較(2019年10月末)


2019年10月末の世界各国のイールドスプレッドを見ていきます。

※イールドスプレッドは株式のバリュエーションを判断する指標のひとつで、10年国債利回りから株式益利回り(PERの逆数)を引いて計算します。

イールドスプレッド比較(2019年10月末時点)


PER益利回り10年国債
利回り
イールド
スプレッド
ロシア5.717.54%6.44%-11.10%
オーストリア11.58.70%-0.16%-8.86%
ハンガリー10.39.71%1.96%-7.75%
スペイン14.46.94%0.24%-6.70%
日本15.46.49%-0.13%-6.63%
中国10.19.90%3.28%-6.62%
ベルギー16.46.10%-0.10%-6.20%
ポルトガル15.96.29%0.17%-6.12%
チェコ13.47.46%1.38%-6.08%
ポーランド12.67.94%1.97%-5.97%
アイルランド16.95.92%0.01%-5.91%
イタリア14.56.90%1.03%-5.87%
英国15.66.41%0.63%-5.78%
スウェーデン17.95.59%-0.12%-5.71%
ドイツ19.05.26%-0.40%-5.66%
オランダ18.75.35%-0.27%-5.62%
フランス18.35.46%-0.10%-5.56%
シンガポール13.77.30%1.78%-5.52%
香港14.56.90%1.54%-5.36%
韓国14.66.85%1.73%-5.12%
スイス22.34.48%-0.56%-5.05%
デンマーク22.04.55%-0.38%-4.93%
フィンランド21.14.74%-0.17%-4.91%
台湾17.95.59%0.70%-4.89%
ギリシャ16.95.92%1.17%-4.75%
イスラエル18.05.56%0.87%-4.69%
カナダ16.95.92%1.41%-4.51%
オーストラリア18.25.49%1.16%-4.34%
タイ17.25.81%1.57%-4.25%
ノルウェー18.35.46%1.39%-4.07%
ニュージーランド21.94.57%1.34%-3.23%
米国21.74.61%1.69%-2.92%
マレーシア20.74.83%3.44%-1.39%
フィリピン17.95.59%4.53%-1.06%
ブラジル15.36.54%6.44%-0.10%
メキシコ15.76.37%6.76%0.39%
南アフリカ13.67.35%8.50%1.14%
インドネシア19.65.10%7.01%1.90%
トルコ9.510.53%12.67%2.14%
インド28.03.57%6.64%3.07%
※PERははStarCapital AG、10年国債利回りはInvesting.comのデータを使いました。

グラフ化すると以下のようになります。
先月比では多くの国がPER拡大&金利上昇となりましたが、一部高金利国は大幅に金利が低下し、イールドスプレッドは割安になりました。
(10年国債利回りはブラジルが-0.61%ポイント、ロシアが-0.58%ポイント、トルコが-0.53%ポイント。)

ロシアはCAPEレシオ単体でみるとやや割安感が薄れつつあり、2019年10月末時点ではトルコ(7.6)よりも高い7.7となっています。
一方、イールドスプレッドは金利低下&PER縮小でより割安となっています。
ロシア中銀は10月に政策金利を0.5ポイント引き下げて6.5%としましたが、最大では6%まで引き下げられる可能性があるそうです。ロシア10年国債利回りは2003年以来の最低水準に近付きつつあります。

出典:Investing.com

CAPEレシオを使ったイールドスプレッド比較(2019年10月末時点)

最後に、益利回りの代わりにCAPEレシオの逆数を使ったイールドスプレッドを比較してみます。イールドスプレッドを計算するときにCAPEレシオを使うのが正しいのかは分かりませんが、PERを使った場合よりも一時的な要因を除けるので併せてチェックしています。

CAPE益利回り
(CAPEの逆数)
10年国債
利回り
イールド
スプレッド
チェコ9.810.20%1.38%-8.83%
ポーランド11.28.93%1.97%-6.96%
スペイン14.07.14%0.24%-6.90%
ロシア7.712.99%6.44%-6.55%
韓国12.18.26%1.73%-6.54%
オーストリア16.85.95%-0.16%-6.12%
ドイツ18.25.49%-0.40%-5.90%
ポルトガル16.66.02%0.17%-5.86%
英国15.86.33%0.63%-5.70%
イスラエル15.96.29%0.87%-5.42%
シンガポール14.07.14%1.78%-5.37%
香港14.96.71%1.54%-5.17%
ノルウェー16.06.25%1.39%-4.86%
スウェーデン21.74.61%-0.12%-4.73%
フランス21.94.57%-0.10%-4.66%
日本22.54.44%-0.13%-4.58%
フィンランド23.74.22%-0.17%-4.39%
スイス26.43.79%-0.56%-4.35%
ベルギー23.64.24%-0.10%-4.34%
タイ17.15.85%1.57%-4.28%
オランダ25.13.98%-0.27%-4.26%
ハンガリー16.26.17%1.96%-4.21%
台湾21.14.74%0.70%-4.04%
オーストラリア19.85.05%1.16%-3.89%
イタリア20.54.88%1.03%-3.85%
中国14.56.90%3.28%-3.62%
デンマーク32.23.11%-0.38%-3.49%
マレーシア14.86.76%3.44%-3.32%
カナダ21.54.65%1.41%-3.24%
ニュージーランド28.63.50%1.34%-2.16%
アイルランド56.11.78%0.01%-1.77%
米国29.73.37%1.69%-1.68%
フィリピン19.35.18%4.53%-0.66%
トルコ7.613.16%12.67%-0.49%
ブラジル17.85.62%6.44%0.82%
インドネシア17.45.75%7.01%1.26%
メキシコ18.35.46%6.76%1.30%
インド21.84.59%6.64%2.06%
南アフリカ17.35.78%8.50%2.71%
ギリシャ-3.2- 1.17%
※CAPEレシオはStarCapital AG、10年国債利回りはInvesting.comのデータを使いました。

グラフ化すると以下のようになります。



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コメント

  1. こんにちは。
    アップされたテーマと論点ずれして済みませんが、
    管理人さんはロシア株のETFに妙味ありとされていたと思います。
    私も同様に思っておりますが、VEONなどのロシア株にも個別投資しています。

    VEONはなにより約10%の配当利回りに引かれてかなり持っているのですが、
    ADR上場の経費が20%ほどあるようで、手取りベースだと高配当銘柄には違いないが、
    それでも10%だと思っていたのでがっかりしました。

    ADR手数料は、心なしかカントリーリスクが高い国に高く設定している感じがしますが、
    そういう理解で良いのでしょうか。
    そう仮定すると、例えばBPは英国からの源泉税が無い事で人気ですけれども、
    ブレグジットの迷走ぶりを見ていると、かつての大英帝国も漂流してボロボロになる可能性があります。
    (最近は、EU自体、迷走が深まっているようですけれども)。

    逆に、米中貿易戦争は、本質的には覇権争いだとは思う物の、両国が経済的に密接なため、
    米ソ冷戦のように(表向き)経済封鎖や国交断絶は出来ません。
    すると、(アメリカの国家安全保障上、危険ではあるけれども)
    むしろアマゾンよりも事業性が自由なアリババのような中国企業も様子を見ながら買っていた方が分散の観点から良い時期と思われるでしょうか。

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    返信
    1. こんにちは。
      ADR手数料はどういう基準で決まっているのか分かりませんが、私が受け取ったものではインドのHDBはゼロ、ベルギーのBUDは約6%だったりでバラバラなので、カントリーリスクが高いほど高いという訳でもなさそうな気がします。
      https://ronaldread.blogspot.com/2017/03/adr_26.html
      VEONはたぶんADR手数料が1%強、ロシアの源泉税率が15%なので合計16%強という感じじゃないでしょうか。
      私はVEONは持っていませんが、MBTはADR手数料がさらに高いので手取りはかなり減ってしまいます。

      レイ・ダリオは米中両方に賭けている感じがしますね。
      私も米国集中投資よりは分散したほうがいいんじゃないかなと思っています。

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