株価データはMSCIの現地通貨建と米ドル建のグロス・トータルリターン指数、各国のデフォルトした年は「海外投資データバンク」の一覧表のものを使っています。
過去記事:MSCI指数データのダウンロード方法
参考:世界のデフォルト経験国家一覧表(第二次大戦以降)
ロシア
MSCIロシアの現地通貨建と米ドル建のグロス・トータルリターン指数は以下のようになっています。※MSCIのデータでは何故か2010年頃までは現地通貨建と米ドル建の差がほとんどありませんが、実際の対ドルのロシアルーブルは以下のように1998年から下がり続けています。
出典:世界経済のネタ帳 |
対外債務のデフォルトは1991、1998年です。
このうち株価データがある1998年前後を切り取ると以下のようになります。
トルコ
MSCIトルコの現地通貨建と米ドル建のグロス・トータルリターン指数は以下のようになっています。対外債務のデフォルトは1982、1987年です。
このうち、1987年以降の短期間を切り取ると以下のようになります。
ドローダウンは現地通貨建が1988年1月→1988年12月で-42.9%、米ドル建が1988年1月→1989年1月で-66.2%でした。
ギリシャ
海外投資データバンクによるとギリシャは参考文献によると1800年以降のおよそ半分の期間で財政破綻の状態にあり、「恒常的なデフォルト状態にある」と表記されています。ギリシャは21世紀にユーロ加盟して以降おとなしかったものの、2010年のギリシャ危機(債務隠蔽発覚)で、デフォルト常習国家が仮面を被っていただけだった事が明らかになりました。だそうです。
引用:世界のデフォルト経験国家一覧表(第二次大戦以降)
MSCIギリシャの現地通貨建と米ドル建のグロス・トータルリターン指数は以下のようになっています。
1987年12月末=100としたときの米ドル建グロス・トータルリターン指数は2019年11月末で66.52となっています。
約32年間もキッチリ配当再投資し続けた結果が33.48%って逆に凄いですね…投資先をミスると長年コツコツ投資しても無意味なんだなと改めて思いました。
ちなみに米ドル建の最大ドローダウンは2007年12月→2016年2月の-97.7%となっており、ロシアの-91.7%よりもさらにひどいことになっています。
(日次データでは2017年11月7日→2016年2月11日の-98.23%です。)
アルゼンチン
MSCIアルゼンチンの現地通貨建と米ドル建のグロス・トータルリターン指数は以下のようになっています。高インフレのせいで現地通貨建の桁数が凄いことになっていますね…
対外債務のデフォルトは1982、1989、2001年です。
1989年前後を切り取ると以下のようになります。
現地通貨建ではあまり下がっていませんが、米ドル建のドローダウンは1988年9月→1989年4月で-48.7%、1989年9月→1990年1月で-64.1%となっています。
2001年前後を切り取ると以下のようになります。1992年1月から2001年12月まではドルペッグ制を採用していたそうで、2つの線は途中までピッタリ重なっています。
インドネシア
MSCIインドネシアの現地通貨建と米ドル建のグロス・トータルリターン指数は以下のようになっています。対外債務のデフォルトは1998、2000、2002年です。
この期間の前後を切り取ると以下のようになります。
ドローダウンは1997年2月→1998年9月で現地通貨建が-67.3%、米ドル建が-92.7%、1999年6月→2001年4月で現地通貨建が-56.3%、米ドル建が-74.1%となっています。
ナイジェリア
MSCIナイジェリアの現地通貨建と米ドル建のグロス・トータルリターン指数は以下のようになっています。対外債務のデフォルトは1982、1986、1992、2001、2004年です。
2004年前後を切り取ると以下のようになります。
ドローダウンは2004年6月→2005年3月で現地通貨建が-36.3%、米ドル建が-36.2%と比較的小さかったようです。リーマンショック(現地通貨建で-70.6%、米ドル建で-76.8%)に比べると全然大したことないですね。
1987年12月末以来のパフォーマンス比較
ちなみに1987年12月末以来の米国、アルゼンチン、ギリシャ、インドネシア、トルコの米ドル建パフォーマンスを比べると以下のようになります。(このなかに入っていると米国株はめちゃくちゃ安定感があるように錯覚してしまいますね…)
年率換算ではアルゼンチン+11.1%>米国+10.8%>インドネシア+9.7%>トルコ+6.8%>ギリシャ-1.3%です。
意外にもデフォルト常習国家のアルゼンチンは長期でみれば米国よりも優れたリターンを残しています。
(切り取っている期間によってかなり差が出るかと思いますが、この期間では1988年初と2002年半ばを除いてずっとアルゼンチン株が上回っています。)
ギリシャみたいに長期保有しても後半で大暴落すると全く報われない場合もありますが、デフォルトしても暴落を乗り切れば良いリターンが得られる例も割とあるようです。
補足:ボラティリティ
ただし、デフォルト経験国家のボラティリティは非常に高いです。下表は1987年12月~2019年11月の年率リターンとボラティリティです。アルゼンチンとトルコは50%超と凄まじい高ボラティリティです。
12ヶ月ローリング・ボラティリティは以下のようになっています。米国株がまるで債券みたいに見えてしまいますね…
ロシアとナイジェリアは以下の通りです。
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こんにちは。
返信削除管理人さんは(投資資金が、お給料主体なので)定期積立的なフルインベストメントのように感じておりますし、
それと、政治的な判断や状況で荒れたにせよ、
長期的に上昇が見込まれるものに淡々と投資すればよい、とお考えのように感じております。
なので考えてもムダということかもしれませんが、
さすがに来年はトランプ大統領の再選をかけた選挙であり、
最近はNYダウの下落を嫌ってツイッターを乱発、
そういう状況を前提にアルゴが反応しているように感じております。
FRBやECBも、アルゴの反応を恐れて毅然とした方針を決められないかもしれません。
習近平体制など独裁的な意思決定機関はどうか知りませんが。
つまり、いろいろ潜在的に大きな問題は今までからあるものの、
特にアメリカ大統領選は日程も決まっている目立つイベントですから、
来年は、純粋に機械的な投資は基礎とするものの、
何か主観的な方針をご思案されているでしょうか。
私の場合、株式投資とは別の事情があって、いったん現金割合を増やしたのですが、
その現金を再度証券投資に回すのにどういう方針が良いのかなと思案中です。
要するにまたすぐに全力出して暴落は嫌だな、というだけかもしれませんけど。
こんにちは。
削除個人的には大統領選よりも金融緩和余地があまり残っていなさそうという点が気になっていますが、素人がマクロ予測にもとづく投資をしてもうまくいかないだろうなと思っているので、特に何もするつもりはありません。
素人目にはダウンサイドリスクのほうがかなり大きいように思えますが、私の場合は現金比率を増やすといつ買い戻すか悩むのが面倒に感じてしまいそうですし、暴落してもまあいいかなと鷹揚に構えるようにしています。