デフォルト経験国家の輸入カバー率と対外債務(GNI比)


今回はデフォルト経験国家の輸入カバー率(外貨準備高÷月間輸入額)と対外債務(GNI比)を調べてみました。

データは世界銀行の輸入カバー率(Total reserves in months of imports)と対外債務(GNI比)(External debt stocks (% of GNI))、下記記事で取り上げたロシア、トルコ、アルゼンチン、インドネシア、ナイジェリアを見ていきます。

 過去記事:デフォルト経験国家の株価推移
下表は各国のデフォルトした年で、「海外投資データバンク」の一覧表のものを使っています。

対外債務デフォルト
ロシア1991、1998
トルコ1982、1987
ギリシャ恒常的デフォルト状態
アルゼンチン1982、1989、2001
インドネシア1998、2000、2002
ナイジェリア1982、1986、1992、2001、2004

ロシア

輸入カバー率

ロシアの対外債務のデフォルトは1991、1998年です。

1991年のデータはありませんが、1994~1999年では輸入カバー率の目安となる3ヶ月を下回っており、特に1994年は1.3ヶ月分しかなかったようです。

最近では2014年に原油安と通貨安の影響で一時的に大きく減少しているものの、十分な外貨準備を保有できていることが分かります。

対外債務(GNI比)

対外債務(GNI比)は1998年のデフォルトの際には100%近くまで急騰していますが、1991年は今よりもさらに低い水準にあったようです。

現在のロシアは経常収支も財政収支も黒字かつ外貨準備も潤沢、対外債務も低水準という健全な状況にあると思っています。

トルコ

輸入カバー率

トルコの対外債務のデフォルトは1982、1987年です。

輸入カバー率は1981~1988年にかけて目安となる3ヶ月を下回っています。

2018年現在は4.3ヶ月分となっています。

対外債務(GNI比)

対外債務(GNI比)は1987年のデフォルト時点では48.1%、1981年では27.6%となっています。

2018年現在は59.0%と過去最悪の水準にあります。

ギリシャ

輸入カバー率

ギリシャの輸入カバー率は2001年以降ずっと目安となる3ヶ月分を下回っていますが、EU加盟国なのであまりこの目安は使えなさそうな気がします。

2018年現在は0.95ヶ月分と非常に少ないです。

ギリシャの対外債務(GNI比)は世界銀行のサイトにデータがなかったので飛ばします。

アルゼンチン

輸入カバー率

アルゼンチンの対外債務のデフォルトは1982、1989、2001年です。

輸入カバー率は1982年のデフォルト時には目安の3ヶ月分を超えていますし、最低でも1984年の2.5ヶ月分程度と意外に多いです。

2018年現在は7.1ヶ月分です。

対外債務(GNI比)

対外債務(GNI比)は1982年のデフォルト時が55.3%、1989年が93.3%、2002年が159.9%となっています。

2018年現在は56.1%です。

インドネシア

輸入カバー率

インドネシアの対外債務のデフォルトは1998、2000、2002年です。

輸出カバー率は1998年以降目安となる3ヶ月を上回っています。

2018年現在は5.7ヶ月分です。

対外債務(GNI比)

対外債務(GNI比)は1998年のデフォルト時が168.2%、2000年が93.5%、2002年が67.7%となっています。

2018年現在は36.6%です。

ナイジェリア

輸入カバー率

ナイジェリアの対外債務のデフォルトは1982、1986、1992、2001、2004年です。

輸入カバー率は1990年代半ばまでは目安となる3ヶ月を下回っている年がかなり多いですが、それ以降は3ヶ月超を維持しています。

2003年が3.5ヶ月分、2004年が8.7ヶ月分となっていますが、2004年にデフォルトしているので、3ヶ月分を超えているからといってあまり安心はできなさそうですね。

2018年現在は5.8ヶ月分です。

ちなみにロシア、トルコ、ナイジェリアに並んで低CAPE(と思われる)のパキスタンは2018年時点で1.9ヶ月分しかありません。

対外債務(GNI比)

対外債務(GNI比)は1982年のデフォルト時が8.5%、1986年が41.6%、1992年が64.7%、2001年が44.9%、2004年が31.5%となっています。

2018年現在は12.2%です。

1982年のほとんど対外債務がない状況でのデフォルトは何が原因なのかよく分かりませんが、現在は外貨準備も十分にありますし、経常赤字も小幅なので比較的健全なんじゃないかなと思っています。


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