新興国株を調べるときは現地通貨建てだけでなく米ドル建ても確認すべき


新興国は相対的に高インフレの国が多いです。

そのため、新興国株を調べるときは現地通貨建てだけではなく、米ドル建ても確認したほうが良いと思います。

ガスプロム

たとえばロシアの天然ガス最大手ガスプロムのロシアルーブル建ての業績は以下のようになっています。データはMorningstarのものです。
過去10年間の年率成長率は売上高が+9.61%、営業利益が+3.28%、純利益が+6.96%とエネルギー株としては安定して高成長しているように見えます。

しかし、ロシアは米国と比べると高インフレのため、過去10年間でロシアルーブル/米ドルは0.034→0.013と約62%も減価しています。年率換算すると-9.2%です。

出典:YahooFinance

ガスプロムの売上高はロシアルーブル建てでは年率9.6%で成長していましたが、米ドル換算ではほぼ横ばいだったということになります。
※ただし、多くの新興国通貨はインフレ率の差以上に売られており、購買力平価でみるとロシアルーブルは割安です。業績を見るときはインフレ調整後の実質成長率を見たほうが良さそうです。
 過去記事:購買力平価で見ると新興国通貨は割安?

ロスネフチ vs エクソン・モービル

たとえば石油会社同士を比べる場合、ロシアルーブル建てのROSN(ロスネフチ)と米ドル建てのXOM(エクソン・モービル)を比べるとROSNのほうが良く見えますが、この間にロシアルーブルは米ドルに対して大幅に減価しているので、通貨を揃えればXOMのほうがまだマシだと思います。

出典:YahooFinance

モバイル・テレシステムズ

ロシア最大の携帯電話会社モバイル・テレシステムズはMOEX(モスクワ証券取引所)上場のMTSSとNYSE上場のMBTの二種類があります。MTSSはロシアルーブル建て、MBTは米ドル建てで取引されています。

YahooFinanceで見られる2011/11/20以降のMTSSとMBTのチャートを比べてみると、MTSSは36.81%上昇しているのに対して、MBTは57.23%下落しています。

出典:YahooFinance

ベネズエラ株

ハイパーインフレを起こしたベネズエラでは現地通貨建ての株価指数はとんでもないチャートになっています。2018年11月頃には株価指数が50万超まで急騰していますが、Wikipediaによると「2018年7月23日国際通貨基金は、2018年末にボリバル・ソベラノのインフレ率が100万%に達する旨の見解を発表した」そうです。
出典:Trading Economics

日本株 vs 米国株

これは新興国だけに限った話ではなく、先進国同士を比較するときにも同じことが言えます。

たとえば日本は米国よりも低インフレなので、(少なくとも今までは)長期的には為替は米ドル安円高方向に動いてきました。

面倒なので3年ほど前に作ったものを再利用しますが、日本円建ての日経平均と米ドル建てのS&P500を単純に比較するとS&P500がめちゃくちゃ優れているように見えます。
 過去記事:米国株と日本株の株価推移
通貨を日本円に揃えると以下のようになります。
これだとやはりS&P500が圧勝してしまっているので期間を2007年5月以降にすると割といい勝負をしています。
ちなみに日経平均は過去130年間で見れば右肩上がりです。通貨を揃えて高度経済成長期くらいから比較すれば多分日本株は米国株をアウトパフォームしているんじゃないかなと思います。
出典:The Capital Tribune Japan



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