ピクテによると、1971/1/29〜2020/8/10の主要通貨のゴールドに対する下落率は最も小さいスイスフランでも-91.0%、次いで日本円の-93.2%、ドイツマルクの-95.9%となっており、約50年間ですべて90%以上下落したそうです。
(年率換算では-5%〜-8%くらいです。)
出典:ピクテ |
(最近1899年のアメリカを舞台にした『Red Dead Redemption 2』を遊んでいるのですが、multpl.comによるとこの約120年間でCPIは約38倍になっています。ミッションの報酬が数十ドル、大掛かりな列車強盗とか銀行強盗をやっても得られるのは数百〜数千ドルとかで物価の移り変わりを感じます。)
しかし、これらはあくまでも現金をタンス預金をしていた場合のリターンで、実際には銀行預金やMMF等に預けておくと金利がつきます。この期間の銀行預金等のリターンはゴールドを上回っているはずです。
シーゲルのチャートは金本位制の時期が長くゴールドに不利な期間だと思うので、たとえばPortfolio Visualizerで1972年1月〜2020年12月のキャッシュとゴールド、株式のリターンを比較してみると以下のようになります。
出典:Portfolio Visualizer |
リターンは当然ながら株式>ゴールド>キャッシュですが、ボラティリティはゴールドが20.02%、株式が15.65%で、最大ドローダウンはゴールドが-61.78%、株式が-50.89%でした。
キャッシュのままだとインフレに負けるので株式やゴールドに投資しよう、という話は1980年前後の高インフレ期や最近の金融緩和による実質金利マイナスの一部の時期に当てはまるだけでした。
長い目で見ればインフレ調整後でもキャッシュは50年弱で約1.4倍に増えており、リスク回避的な人はキャッシュのままでも特に問題はなかったんですよね。
日本の場合はデータがある期間が短いですが、昔調べたインフレ調整後の定期金利は以下のようにだいたいの期間でプラスになっており、過去30年間くらいは定期預金で置いておくのが一般人にとっては無難な選択肢でした。日本株もバブル崩壊以降長らく低迷していましたしね。
過去記事:日本の預金金利とインフレ率
最近は一部で投資はやって当たり前という風潮があるように感じますが、世の中にはわずかでも資産が減るのが嫌という人もいますし、万人が投資する必要はないのではと思っています。
(今は実質金利マイナスが当たり前の世界で当面プラス圏に戻ることはなさそうですし、今後はたしかに何らかのインフレヘッジを考えたほうが良さそうな気はしますが…)
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