ナイジェリアでは急激な金利低下が進んでおり、イールドカーブを見るとどの年限でもインフレ率(9月は13.71%)を下回っています。
出典:Investing.com |
短期は1%未満、10年国債利回りですら4.738%、実質長期金利は-9%程度ととんでもないことになっています。
米国は今年8~9月の-1.08%が底で現在は-0.77%なので文字通り桁違いですね。
出典:FRED |
ナイジェリアの政策金利は11.50%なのですが、ナイジェリア中央銀行のサイトによると、9月時点では銀行間取引金利2.00%、プライムレート11.55%、上限貸出金利28.45%、銀行預金金利は普通2.49%~12ヶ月定期5.37%となっています。先進国では考えられない変動の激しさです。
出典:Central Bank of Nigeria |
預金者は毎年10%前後も購買力を失うことになるので、先進国とは比べものにならないレベルで"現金はゴミ"と化しています。
10月末のイールドスプレッドは-13.24%
ナイジェリア株は非常に低PERのため、10月末のイールドスプレッド(10年国債利回りから株式益利回り(PERの逆数)を引いたもの)は-13.24%となっています。毎月調べている40カ国のイールドスプレッドのグラフにナイジェリアを付け加えると、チェコやオーストリアが霞むレベルになっていることが分かります。
関連記事:世界各国のイールドスプレッド比較(2020年10月末)
厳しい外貨規制が敷かれているナイジェリアではインフレヘッジや国際送金のためにビットコイン需要が高まっているそうですが、足元のナイジェリア株の急上昇はゴミと化した現金からの流入が主因なのかもしれません。
- Nigeria’s inflation rate is 13.71% and galloping towards stagflation. Nigeria is expected to announce it is formally in a recession in the coming weeks as the National Bureau of Statistics collates its data.
- Billions have poured into the stock market in recent weeks as investors search for investments with better yields.
- However, there are limited stocks out there that can guzzle up the hundreds of billions of naira available for investing.
引用:Nairametrics
ちなみにナイジェリア株式市場全体の時価総額は先月末時点でZM(ズーム)の1/3程度の421億ドル程度しかないそうです。
(2019年の名目GDPが4,481億ドルなのでバフェット指数は10%未満です。)
参考:Zoom is 3 times bigger than Nigeria’s Stock Market Capitalization
(ナイジェリアほどではないにしろ)先進国のみならず新興国でも実質金利マイナスの国が出てきていますし、利回りを求めて株式に流入する資金は今後も増えるのかもしれません。
この低金利環境がどの程度続くのかは分かりませんが、ナイジェリアは各企業の決算も予想より良かったようですし、急上昇後も依然として非常に低PERなので今後のNGEに期待しています。
関連記事:MSCIナイジェリア、年初来でACWIをアウトパフォーム&米国に肉薄するも…
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いつもナイジェリアと各国比較ありがとうございます。
返信削除ナイジェリア市場で株価上昇によりサーキットブレーカーが発動したようですが、何か政策金利の発表等大きな動きがあったんですかね?
利下げなど特に大きなニュースはなさそうですので、たぶん記事に書いたような感じで低金利で資金が株式にきているのかなと思っています。
削除インフレ率10%超で下がる見込みもないのに長期金利4%台は明らかにおかしいと思いますし、ナイジェリア株は最近上昇しているとはいえ未だにかなりの低水準なので、しばらくは上昇が続いてもおかしくないのではと楽観しています。