ロバート・シラー教授によると、世界のECY(Excess CAPE Yield:超過CAPE利回り※)は1980年代初め以来の高水準にあるそうです。
※CAPEレシオの逆数から10年国債利回りを引いたもの。当ブログでも毎月記事(イールドスプレッド)にしています。2020年10月末時点で特にスプレッドが大きい国はポーランド(12.33%)、チェコ(12.00%)、ロシア(10.83%)、オーストリア(10.04%)等があります。
参考:ECYは1980年代初め以来の高水準:ロバート・シラー(The Financial Pointer)
今回は米国のECY推移をグラフにしてみました。
CAPE利回りと10年国債利回りの推移
まずはmultpl.comのデータを使ってCAPE利回りと10年国債利回りの推移をグラフにしました。期間は1871年2月〜2020年12月です。
1960年頃まではCAPE利回りが10年国債利回りを上回っているのが普通でしたが、1960年以降は両者はだいたい同じくらいの水準で推移しています。
1960年以降で切り取ると以下のようになります。
こうやってみると米国のCAPEレシオ30オーバーも余裕で許容範囲に思えますね。
ECY(Excess CAPE Yield:超過CAPE利回り)の推移
ECY(CAPE利回り-10年国債利回り)は以下のようになります。
同じく1960年以降で切り取ってみました。ECYの最大値は4.69%、中央値は-0.24%、最小値は-4.38%です。現在の水準(2.02%)は88パーセンタイルに位置します。
超低金利を考慮すると高いバリュエーションも十分許容範囲に思えますが、低金利は金利が低下している間は割引率低下を通して株価を上昇させるものの、金利低下余地がなくなってしまえば株価上昇要因にはもうなり得ませんし、長期的には低い金利は低い経済成長を意味するのでマイナスといえます。
アスワス・ダモダラン教授はバリュエーションを行う際、永久成長率=長期金利としていますが、簡単にPER=1/(株式リスクプレミアム+長期金利-永久成長率)とすると、金利低下分は将来の成長率低下、金利上昇分は将来の成長率上昇でそれぞれ相殺され、長期金利はPERに中立ということになります。
過去記事:低金利が必ずしも良いとは限らない
このあたりのことはいまだによく理解できていないのですが、とりあえず世界各国の株式はCAPEレシオが低いときに買ったらその後10年間の実質リターンが高かった、ということは確かですし、金利は低いほうが良いには違いないので、ECYは私の好きな指標です。
過去記事:世界各国のCAPEレシオとその後10年間の実質トータルリターン
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