PER=1/(割引率-成長率)=1/(株式リスクプレミアム+長期金利-成長率)
なので、長期金利が下がるとPERは拡大します。実際に過去のS&P500を見てみても、長期金利上昇局面ではPERが縮小、金利低下局面ではPERが拡大しています。
過去記事:長期金利上昇局面と低下局面における米国株のリターン
過去記事:長期金利上昇局面ではバリュエーションが縮小する
(約1年前のものなので結構古いですが)バイロン・ウィーン氏の早見表では特に長期金利と株価の関係が分かりやすいです。
低金利は株式を保有している投資家にとっては良いことのように思えますが、ニューヨーク大学アスワス・ダモダラン教授のブログ「Musings on Markets」に以下のような記述がありました。フィナンシャル・ポインターで紹介されてたバイロン・ウィーンの配当割引モデルの早見表。— 高卒非正規が株式投資でアーリーリタイアを目指す (@ronaldread_blog) July 13, 2019
現在はS&P500のEPSが166、米10年国債利回りが2%なので早見表では3,301になるとのこと。
ただし10年国債利回りが2.5%まで上昇すると2,551まで下落。
3%なら2,078、3.25%なら1,902。 pic.twitter.com/0QWVHguv6m
参考:A Viral Market Update IX: A Do-it-Yourself S&P 500 Valuation
To the counter that it is low interest rates that are keeping the index level high, my response is that low interest rates cut both ways, first by lowering the discount rate (and thus increasing value) but also by signaling much lower growth in the long term (which I capture by lowering growth in perpetuity to the risk free rate).低金利は短期的には割引率低下を通して株価を上昇させるものの、長期的には低金利は低成長を意味するのでマイナスだそうです。
引用:Musings on Markets
これは以前にも書いたのですが、名目長期金利は名目GDP成長率に近似します。
過去記事:名目GDP成長率と長期金利の関係
出典:FRED |
ダモダラン教授は2020/6/1時点のS&P500のフェアバリューの計算にあたって、永久成長率を長期金利と同じ0.66%としています。
(個人的には米国の名目成長率が0.66%にとどまるというのは悲観的すぎるように思えますが…)
出典:Musings on Markets |
金利が下がると割引率と一緒に永久成長率も下がるので、バイロン・ウィーン氏の早見表ほどは金利に対して敏感ではなくなっています。
(PER=1/(株式リスクプレミアム+長期金利-成長率)とした場合は長期金利=成長率ならPER=1/株式リスクプレミアムとなり、PERは長期金利には左右されなくなりますが、上のシミュレーションでは金利が下がったほうが理論株価が高くなります。)
出典:Musings on Markets |
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