今回はResearch Affiliatesのデータを使って、世界各国の10年前のCAPEレシオと過去10年間の実質トータルリターンを見てみます。
世界各国の10年前のCAPEレシオと過去10年間の実質リターン
世界各国の10年前(2010年12月時点)と現在(2020年12月時点)のCAPEレシオと過去10年間の実質トータルリターンを表にまとめました。表は実質リターンの降順です。
| 10年前のCAPE ('10年12月時点) | 現在のCAPE ('20年12月時点) | CAPE変化率 | 実質リターン (過去10年) |
米国大型株 | 22.4 | 33.5 | 49.6% | 12.0% |
米国小型株 | 45.4 | 61.7 | 35.9% | 9.3% |
台湾 | 21.8 | 25.2 | 15.6% | 9.0% |
先進国 | 18.4 | 25.7 | 39.7% | 8.6% |
全世界 | 18.8 | 24.2 | 28.7% | 7.9% |
スイス | 19.1 | 25.1 | 31.4% | 7.5% |
中国 | 25.7 | 17.1 | -33.5% | 6.1% |
フランス | 14.8 | 20.3 | 37.2% | 5.1% |
スウェーデン | 21.9 | 20.8 | -5.0% | 5.1% |
韓国 | 18.9 | 15.5 | -18.0% | 5.1% |
日本 | 22.7 | 21.0 | -7.5% | 5.0% |
日本除くアジア | 23.4 | 17.9 | -23.5% | 5.0% |
香港 | 23.4 | 15.2 | -35.0% | 4.7% |
ドイツ | 18.0 | 16.7 | -7.2% | 4.5% |
EAFE | 16.9 | 17.7 | 4.7% | 4.2% |
ヨーロッパ | 14.4 | 17.3 | 20.1% | 4.1% |
タイ | 19.8 | 14.3 | -27.8% | 3.0% |
オーストラリア | 17.3 | 17.7 | 2.3% | 2.9% |
新興国 | 22.8 | 15.5 | -32.0% | 2.2% |
インド | 26.9 | 23.9 | -11.2% | 1.7% |
英国 | 13.1 | 12.7 | -3.1% | 1.4% |
カナダ | 22.2 | 20.5 | -7.7% | 1.3% |
イタリア | 9.5 | 17.4 | 83.2% | 0.4% |
インドネシア | 27.0 | 16.1 | -40.4% | 0.3% |
スペイン | 11.7 | 12.5 | 6.8% | -0.7% |
ロシア | 8.6 | 7.0 | -18.6% | -1.4% |
南アフリカ | 18.7 | 16.5 | -11.8% | -1.7% |
マレーシア | 23.3 | 14.7 | -36.9% | -1.7% |
メキシコ | 26.6 | 17.3 | -35.0% | -3.0% |
ポーランド | 16.5 | 8.8 | -46.7% | -4.3% |
ブラジル | 16.5 | 17.7 | 7.3% | -4.9% |
トルコ | 16.8 | 7.5 | -55.4% | -8.4% |
今はバブルと言われたりもしますが、長期的な株式の実質リターンが7%弱程度とすると、多くの国ではこの水準を下回っており、トルコ、ブラジル、ポーランド、メキシコ、マレーシア、南アフリカ、ロシア、スペインにいたってはマイナスとなっています。特にロシアはCAPE8.6で実質リターン-1.4%です。
最も高リターンなのは米国大型株でCAPEレシオは49.6%上昇しましたが、リターンが冴えなかった多くの国は10年前よりも低CAPEとなっています。
リーマンショック前と現在のCAPEレシオ
また、現在とリーマンショック前(2007年10月)のCAPEレシオを比べてみると、現在のほうが高いのは米国のみで、他の国はすべて当時の水準を下回っています。特に新興国でその傾向が大きく、今はCAPE1桁のロシアやトルコ、ポーランドも当時は20超でした。
| '07年10月のCAPE ('07年10月時点) | 現在のCAPE ('20年12月時点) | CAPE変化率 |
米国小型株 | 45.0 | 61.7 | 37.1% |
米国大型株 | 27.3 | 33.5 | 22.7% |
台湾 | 27.6 | 25.2 | -8.7% |
先進国 | 28.7 | 25.7 | -10.5% |
スイス | 28.4 | 25.1 | -11.6% |
全世界 | 29.4 | 24.2 | -17.7% |
イタリア | 22.3 | 17.4 | -22.0% |
フランス | 26.8 | 20.3 | -24.3% |
スウェーデン | 28.9 | 20.8 | -28.0% |
英国 | 18.3 | 12.7 | -30.6% |
南アフリカ | 26.0 | 16.5 | -36.5% |
カナダ | 32.6 | 20.5 | -37.1% |
ブラジル | 28.4 | 17.7 | -37.7% |
ヨーロッパ | 27.9 | 17.3 | -38.0% |
ドイツ | 28.5 | 16.7 | -41.4% |
オーストラリア | 30.4 | 17.7 | -41.8% |
EAFE | 31.1 | 17.7 | -43.1% |
韓国 | 28.6 | 15.5 | -45.8% |
インド | 47.0 | 23.9 | -49.1% |
香港 | 30.7 | 15.2 | -50.5% |
メキシコ | 35.4 | 17.3 | -51.1% |
日本除くアジア | 37.3 | 17.9 | -52.0% |
スペイン | 26.2 | 12.5 | -52.3% |
マレーシア | 34.8 | 14.7 | -57.8% |
新興国 | 38.1 | 15.5 | -59.3% |
日本 | 55.9 | 21.0 | -62.4% |
中国 | 47.5 | 17.1 | -64.0% |
ポーランド | 28.0 | 8.8 | -68.6% |
ロシア | 23.1 | 7.0 | -69.7% |
トルコ | 24.9 | 7.5 | -69.9% |
インドネシア | 67.1 | 16.1 | -76.0% |
タイ | 125.9 | 14.3 | -88.6% |
CAPE20以下は英国のみ、新興国が軒並み高CAPEというリーマンショック前と比べると、現在は数字上はむしろ割安な国だらけに見えますね。
コロナショックではロシアがCAPE5.9まで下がりましたが、もしこれからさらに暴落があったら既に低CAPEのロシアやトルコ、ポーランドがどこまで下がるのか興味があります。
よろしければ応援クリックお願いします
いつも大変に参考にさせていただいております。
返信削除こちら興味深い集計です。
低下した国々の今後の動向は気になります。
ポーランドについては最近の記事を拝見させていただきましたが、今後のドル安傾向を前提にしたとき、恩恵を受けやすい国・地域で特に注目するところはございますでしょうか。
個人的に東南アジアは気になっておりますが、各国の保有する資源(鉱物・農作物等)を含めた上での今後の見通しも拝聴できれば幸いです。
今後も楽しみにしております。
いつもありがとうございます。
削除資源国という括りでは最近は特に考えていないのですが、ロシア株は原油高の恩恵を受け、バリュエーションも低く、またルーブルも購買力平価でみて安いので良いのではと思っています。
あとは同じく産油国でバリュエーションがとても低いナイジェリアに強気です。
東南アジアでしたら個人的にはインドネシアもいいかなと思っています。
結局、この記事で主張したいことが不明です。
返信削除10年前のCAPEが低くて割安なものを買っておけば、実質リターン(過去10年)が大きくなる、ということを言いたいのでしょうか?
すなわち、10年前のCAPEと実質リターン(過去10年)とが逆相関の関係である、ということが言いたいのでしょうか?
投資の素人なのでよくわかりません。教えてください。
■
この記事はただ単に直近10年間の低CAPE国のリターンがどうだったのかが気になって調べただけで、特になにかを主張したいという訳ではありません。
削除今回は結果そのままで、一般的にはCAPEが低いとその後のリターンは良くなる傾向にありますが、この10年間ではCAPEが低くてもリターンが良いという訳ではなかったです。