バロンズ・ダイジェストの「古き良き物」という記事に100年前から生き残っている企業4社の過去100年間の年率リターンが載っていました。
同期間のNYダウの年率リターンが10%超に対して、4銘柄中最も高かったのがMO(アルトリア・グループ)15%、次いでUNP(ユニオン・パシフィック)11%、GE(ゼネラル・エレクトリック)9%、X(USスチール)5%だったそうです。
MOの過去リターンが素晴らしいのはジェレミー・シーゲルの著作で有名ですが、21世紀に入ってから低迷し続けているGEが9%、コモディティバブル崩壊後大暴落しているXでさえ5%のリターンを記録しているのが意外に感じました。
(ただしこれは名目リターンだと思うので、実質リターンは同期間のインフレ率2.6%(multpl.comのCPIから計算)を差し引く必要があります。実質リターンではGEは6%台、Xは2%台でリスクには全く見合っていません。)
過去100年間のトータルリターンは個人では無理ですが、Portfolio Visualizerでは1985年以降のデータがあるので、今回は1985年のNYダウ構成銘柄のパフォーマンスを調べてみました。
1985年のNYダウ構成銘柄
まずはWikipediaに1985年10月30日時点の構成銘柄が載っていたので、現在のティッカーを表にまとめました。
1985年当時の30銘柄中、4銘柄が破綻しており、生き残っている銘柄のなかでも連続性がいまいちよく分からないものも割とあります。
AXPやIBM、MCD、PG、MMM、MOなどは分かりやすいですが、American Can Company(製缶)やWestinghouse Electric Corporation(総合電機)などは原型が残っていないですし、多くの銘柄は実際に投資してどれくらいのリターンが得られたのかを調べるのはかなり難しそうです。
1985年のNYダウ構成銘柄のパフォーマンス
生き残った26銘柄のうち、Portfolio Visualizerで1985年以降のデータがとれる18銘柄のパフォーマンスを表にまとめました。本当はNYダウと比較したかったのですが、データがないのでS&P500と比べています。
(期間はMay 1985 - Dec 2020です。)
リターン首位はやはりMOで、次いでMCD、PG、MRK、RTX、MMM、HONとなり、ここまではS&P500をアウトパフォーム、AXP以下11銘柄はアンダーパフォームしています。
最下位はNAVで、当時の形がそのまま残っている銘柄のなかではIBMが最も悪いです。CVXとXOMはこの10年程度は冴えませんが、1985年以降ではそんなに悪くないですね。
この18銘柄に均等&リバランスなしでS&P500と比べると以下のようになります。
出典:Portfolio Visualizer |
年1回リバランスだと以下のとおりです。これはS&P500にギリギリ勝っていますが、ハイテクグロースが含まれないためか直近10年で差はかなり縮まっています。
出典:Portfolio Visualizer |
破綻した4銘柄と1985年以降のデータが取れない8銘柄を除外したうえでこの結果なので、もし1985年にNYダウと同じ銘柄に投資して放置していた人がいたとすると、たぶんS&P500やNYダウを大幅にアンダーパフォームしているんじゃないかなと思います。
たしかジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」には、S&P500は初期の銘柄のまま入れ替えをしなかったほうがリターンは高かった、みたいなことが書かれていたかと思いますが、2020年末まで期間を伸ばせばハイテクグロースが少ないぶん実際のS&P500に負けていそうな気がします。
以前、2000年のフォーチュン500のなかからランダムに5銘柄×10組を選んでS&P500と比べてみたときは9勝1敗だったので、超大型株に限ると適当に選んで放置してもそこそこのパフォーマンスが得られるのではと考えていたのですが、やはり普通はインデックスに投資しておくのが無難なんだなと改めて思いました。
過去記事:フォーチュン500で猿のダーツ投げを試してみる(過去20年間)
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