参考記事:興味深い議論 5銘柄は十分か(ETFを使った株式投資)
フォーチュン500からランダムに5銘柄を選んでみる
2000年のフォーチュン500のなかからランダムに5銘柄×10組を選んでPortfolio Visualizerで均等加重ポートフォリオ(年1回リバランス)の過去20年間(2000年2月末~2020年2月末)のパフォーマンスを調べてみました。(FORTUNEのデータベースでは1955年以降のフォーチュン500のリストを見ることができます。)
なお、非上場企業や倒産した企業が含まれる場合は計算できないので、もう一度選び直しています。途中で買収された銘柄については、最初から買収した側の銘柄を保有していたものとしているため、実際に得られたリターンとは異なります。
1組目(KMB/IP/QCOM/CCK/ADM)
1組目はKMB(キンバリー・クラーク)、IP(インターナショナル・ペーパー)、QCOM(クアルコム)、CCK(クラウン・ホールディングス)、ADM(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド)です。出典:Portfolio Visualizer |
個別銘柄のリターンはKMB+8.42%、IP+3.34%、QCOM+2.22%、CCK+8.74%、ADM+9.64%です。
2組目(WBA/ALV/M/T/VZ)
2組目はWBA(ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス)、ALV(オートリブ)、M(メイシーズ)、T(AT&T)、VZ(ベライゾン・コミュニケーションズ)です。出典:Portfolio Visualizer |
個別銘柄のリターンはWBA+4.46%、ALV+8.79%、M+0.60%、T+1.14%、VZ+5.72%です。
3組目(HSBC/HAL/MDT/MRK/SCHW)
3組目はHSBC(HSBC)、HAL(ハリバートン)、MDT(メドトロニック)、MRK(メルク)、SCHW(チャールズ・シュワブ)です。出典:Portfolio Visualizer |
個別銘柄のリターンはHSBC+2.13%、HAL+0.93%、MDT+5.31%、MRK+4.95%、SCHW+3.14%です。
4組目(EIX/KELYA/MMM/CTL/MRO)
4組目はEIX(エジソン・インターナショナル)、KELYA(ケリーサービシズ)、MMM(スリーエム)、CTL(センチュリーリンク)、MRO(マラソン・オイル)です。出典:Portfolio Visualizer |
個別銘柄のリターンはEIX+7.67%、KELYA-0.32%、MMM+8.95%、CTL-0.04%、MRO+3.76%です。
5組目(KR/DIS/GWW/ROK/XOM)
5組目はKR(クローガー)、DIS(ウォルト・ディズニー)、GWW(W.W.グレインジャー)、ROK(ロックウェル・オートメーション)、XOM(エクソン・モービル)です。出典:Portfolio Visualizer |
個別銘柄のリターンはKR+8.08%、DIS+7.77%、GWW+11.77%、ROK+15.16%、XOM+4.41%です。
6組目(CNP/GD/RAD/UNFI/WCC)
6組目はCNP(センターポイント・エナジー)、GD(ゼネラル・ダイナミクス)、RAD(ライト・エイド)、UNFI(ユナイテッド・ナチュラルフーズ)、WCC(ウエスコ・インターナショナル)です。出典:Portfolio Visualizer |
個別銘柄のリターンはCNP+6.97%、GD+12.73%、RAD-10.92%、UNFI+1.14%、WCC+8.25%です。
7組目(PG/HAS/IBM/WY/ITW)
7組目はPG(P&G)、HAS(ハスブロ)、IBM(IBM)、WY(ウェアーハウザー)、ITW(イリノイ・ツール・ワークス)です。出典:Portfolio Visualizer |
個別銘柄のリターンはPG+7.71%、HAS+10.75%、IBM+3.28%、WY+4.75%、ITW+12.12%です。
8組目(NWL/LHX/PFE/THC/MU)
8組目はNWL(ニューウェル・ブランズ)、LHX(L3ハリス・テクノロジーズ)、PFE(ファイザー)、THC(テネット・ヘルスケア)、MU(マイクロン・テクノロジー)です。出典:Portfolio Visualizer |
個別銘柄のリターンはNWL+0.92%、LHX+15.67%、PFE+3.66%、THC-2.83%、MU+0.45%です。
9組目(AXP/PFE/BA/S/COST)
9組目はAXP(アメリカン・エキスプレス)、PFE(ファイザー)、BA(ボーイング)、S(スプリント)、COST(コストコ・ホールセール)です。出典:Portfolio Visualizer |
個別銘柄のリターンはAXP+6.74%、PFE+3.66%、BA+13.00%、S-7.88%、COST+10.80%です。
10組目(CI/PCG/UIS/NAV/CAR)
10組目はCI(シグナ)、PCG(PG&E)、UIS(ユニシス)、NAV(ナビスター・インターナショナル)、CAR(エイビス・バジェット・グループ)です。出典:Portfolio Visualizer |
個別銘柄のリターンはCI+11.06%、PCG+1.24%、UIS-13.74%、NAV+0.52%、CAR+1.08%です。
まとめ
10組のポートフォリオのリターン、ボラティリティ、シャープレシオをS&P500と比べてみました。(P1=1組目のポートフォリオ、P2=2組目のポートフォリオ…)
リターンは9勝1敗です。わずか5銘柄で構成されるのでボラティリティは全てS&P500を上回っていますが、シャープレシオで見ても7勝3敗です。
下表は50銘柄とS&P500の累積リターンを降順に並べたものです。
グラフ化すると以下のようになります。
50銘柄のリターンの平均値は305.7%(年率7.25%)、中央値は146.2%(年率4.61%)で、やはり平均値と中央値では大きな開きがあります。
ただ、1997~2017年のS&P500構成銘柄では平均値227%に対して中央値50%だったそうなので、それに比べると差は小さいです。
過去記事:【リターン分布の歪み】ほとんどの銘柄は市場平均を下回る
フォーチュン500は売上高ランキングなので、ITバブル期に異常な高バリュエーションで取引されていたハイテク株が入りにくい(今回UISとかSとかも入ってはいますが)というのもあるのかもしれません。
リターンの平均値と中央値の乖離が凄まじく大きいため集中投資するとまともなパフォーマンスが得られない可能性があるということで私は何十銘柄も保有しているのですが、大型株で適当にダーツ投げをしてみた感じではそんなに分散しなくてもいけそうな気がしてしまいますね。
(でも私は収集癖みたいな趣味的な理由もあるので保有銘柄を減らすつもりはありません。)
なお、今回は倒産した企業が含まれるポートフォリオは除外していますが、以前フォーチュン500上位100社の1997年1月〜2019年7月のパフォーマンスを調べたときは、非公開会社や相互会社を除いた88銘柄中12銘柄(約14%)が途中で倒産していました。なので本当に5銘柄でやってしまうと実際には厳しいかもしれません。ボラティリティも高すぎますし。
過去記事:超大型株のリターン分布を調べてみる
補足:ワースト5銘柄の均等加重ポートフォリオ
最後に今回選んだ50銘柄中でリターンワースト5銘柄(UIS、RAD、S、THC、KELYA)の均等加重ポートフォリオのパフォーマンスをS&P500と米国短期債(VBISX)、現金(CASHX)と比べてみました。(Portfolio 1が均等加重ポートフォリオ、Portfolio 2が短期債、Portfolio 3が現金)
出典:Portfolio Visualizer |
個別銘柄のリターンはUIS-13.74%、RAD-10.92%、S-7.88%、THC-2.83%、KELYA-0.32%と全銘柄マイナスなのですが、均等加重ポートフォリオは短期債以下、現金以上という結果になりました。思ったよりもかなり良いですね。一応インフレ率には勝っているはずです。
UISとSはITバブル時の異常なバリュエーションだった(と思う)ので、適当ですが、たとえば極端な高PERを除いたあとにダーツ投げしたら勝てるんじゃないかなとか思いました。
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