【為替ヘッジ付新興国株ETF】HEEM(iシェアーズ・カレンシー・ヘッジドMSCIエマージング・マーケッツETF)


新興国は先進国と比べると市場が未成熟で為替ヘッジコストが高いため、新興国の投信・ETFで為替ヘッジがあるものは少ないと思います。


新興国債券の場合、「三菱UFJ国際-eMAXIS 新興国債券インデックス(為替ヘッジあり)」や2622(iシェアーズ 米ドル建て新興国債券 ETF(為替ヘッジあり))のような為替ヘッジのある国内投信・ETFは米ドル建ての新興国債券に対して為替ヘッジをかけています。

(米国籍のETFでもEMB(iシェアーズ J.P.モルガン・米ドル建てエマージング・マーケット債券 ETF)やVWOB(バンガード・米ドル建て新興国政府債券ETF)のように現地通貨建てではなく米ドル建て新興国債券で構成されているものが多いと思います。)


新興国株式で為替ヘッジが付いている投信・ETFというのは国内ではたぶんないと思いますが、米国籍ではHEEM(iシェアーズ・カレンシー・ヘッジドMSCIエマージング・マーケッツETF)というETFがあることを知りました。

HEEM(iシェアーズ・カレンシー・ヘッジドMSCIエマージング・マーケッツETF)

HEEMはEEM(iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF)に為替予約を使って為替ヘッジをかけたETFです。


経費率はEEMの0.70%にHEEMの管理費用0.78%を加えた1.48%ですが、2025年12月末までは0.78%が免除されるようになっているようで、それまではEEMと同じ0.70%となっているようです。


HEEMの設定月以降(2014年10月〜2021年1月)のパフォーマンスは以下のようになっています。


出典:Portfolio Visualizer


新興国株の高ボラティリティは通貨によるものがかなり大きいようで、為替ヘッジの効果でボラティリティは17.49%→13.80%とかなり低くなっています。ちなみに同時期のVTのボラティリティは14.64%、VOOは14.57%です。


ドローダウンもHEEMのほうが大幅に低くなっており、この期間ではリターンもHEEMのほうが良くなっています。


もっと長期、2001年1年〜2021年1月では為替ヘッジありの新興国株指数(MSCI EM Hedged to USD)は為替ヘッジなし(MSCI Emerging Markets (USD))よりもリターンは少し悪くなっていますが、ボラティリティはやはりかなり低く抑えられています。


出典:MSCI

為替ヘッジコストはだいたいMSCI Emerging Markets(Local)からMSCI EM Hedged to USDのリターンを引いたものとすると長期的にみれば年2%程度ということなのかなと思いますが、2020年は逆転しているのが謎です。


先進国よりも為替ヘッジコストが高くつくことを考えると長期的には為替ヘッジなしをアンダーパフォームしそうですが、新興国株には投資したいけれど高ボラティリティが嫌という場合はHEEMは良い選択肢になるかもしれません。

(SBI証券など国内証券では取り扱いがなさそうですが。)


一般的に新興国株が好調な時期は同時に新興国通貨が米ドルに対して上昇する(新興国株のアウトパフォームはドル安の時期に起こる)ことが多いと思うので、上昇相場ではアンダーパフォーム、下落相場ではアウトパフォームするという感じになりそうです。


現時点の新興国株は先進国株よりもバリュエーションの面で魅力的ですが、同時に新興国通貨も割安なのではと思っているので、個人的には為替ヘッジなしのほうが良いと思っています。

 過去記事:【割安な新興国通貨】現地通貨建て新興国債券がそこそこ有望に思える




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