中国株はEPSとGDP成長の乖離が激しい


ジェレミー・シーゲル著「株式投資の未来」でもあったかと思いますが、中国株は高いGDP成長の割に株式パフォーマンスが冴えない時期が長く続きました。


1992年12月以降の中国(MSCI China)、全世界(MSCI ACWI)、新興国(MSCI EM)のグロスリターン(米ドル)を並べてみると、以下のようになります。


中国のGDPは全世界や新興国を遥かに上回る速度で成長し続けてきましたが、最近になってテンセントや阿里巴巴等のテック株が台頭してくるまではずっと低迷していました。

これは1990年代に高いEPS成長を織り込んでバリュエーションが高すぎたためにリターンが悪かったという訳ではありません。予想PER推移をみてみると昔はボラティリティが高かったですが、だいたい10前後なのでむしろ今よりも低いです。

出典:Yardeni Research, Inc.


最初のグラフは配当込みのグロスリターンだったので、MSCI Chinaのプライスリターン(配当抜き、ドル建て)を見てみると、1992年以降でほぼ横ばいとなっていることが分かります。


出典:MSCI

過去約30年間のMSCI ChinaのPERはほぼ横ばい、ドル建て株価もほぼ横ばいなので、ドル建てEPSもこの間ほぼ成長していないということになります。


ちなみにこの期間のS&P500のEPSは約6.7倍になっています。米国と違って共産党政権なので経済成長の恩恵が株主には無くてもそれほど不思議なことではないかもしれませんが、それにしても凄まじい差です。


最近はテック株を中心に高成長を続けていますが、共産党の規制が止まらなければ今後もEPS成長が望めないかもしれません。


今後も中国のGDPが他の大半の国よりも速く成長することは確かだと思いますが、中国株に投資する場合は接収リスクに加えて、経済成長がほとんどEPS成長に結びついてこなかったことにも留意する必要があると思っています。




よろしければ応援クリックお願いします
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

コメント

  1. はじめまして、いつも楽しく拝見しています。
    GDPがEPSに反映されないならば、そのお金はどこに消えているのでしょうか。
    政治、経済の根幹が変わらない限りその傾向は変わらないとお考えですか?
    またGDPとEPSの乖離はロシアや東欧諸国、アフリカでも見られる現象なのでしょうか。
    今後の新興国株投資の参考にしたいので、ご回答頂けると嬉しいです。

    返信削除
    返信
    1. はじめまして。
      分配面からみると、GDP=雇用者報酬(労働者)+営業余剰(企業)+税(政府)+固定資本減耗なので、営業余剰以外のどこかに消えているんでしょうかね…私にはよく分からないです。
      また、その国の企業利益が伸びていてもMSCI Chinaの構成企業はその一部なので、EPSが伸びていないというのもありそうな気がします。

      他の新興国について詳しく調べてみたことはありませんが、先進国の場合でもそれなりに長期でみてもGDP成長率とEPS成長率が一致しないことも結構あるようで、アフリカが経済成長しそうだからEPSも伸びるとか、ロシアは停滞しそうだからEPSも伸びない、みたいなことは一概には言えないのかなと思っています。
      https://ronaldread.blogspot.com/2018/11/GDP-EPS-growth.html

      アメリカはそこそこ長期でみると一致していますが、むしろ両者が綺麗に足並みをそろえて成長していることのほうが珍しいのかなとさえ思っています。
      https://ronaldread.blogspot.com/2021/08/us-gdp-and-eps.html

      削除

コメントを投稿