米国10セクター中で相対CAPE(relative CAPE)とモメンタムの良い4セクターに投資するCAPE(iPath Shiller CAPE Index ETN)というETNがあります。
10セクターの30年分のCAPEレシオを計算し、相対CAPEが低い5セクターのうちモメンタムが最も悪いセクターを除外するそうです。
Shiller Barclays CAPE® US Core Sector Index(出典:Barclays) |
経費率は0.45%、AUMは$433.60Mと小さく、ETF.comのFund Closure RiskはMediumとなっている不人気ETNですが、設定来でS&P500をアウトパフォームしています。
出典:Portfolio Visualizer |
年毎で見ても2017年以外はCAPEのほうが強いです。
出典:Portfolio Visualizer |
グローバルCAPEではなく米国内セクターCAPEなのであまり興味を持っていなかったのですが、単純にCAPEレシオだけでスクリーニングすると弱そうなので、相対CAPE×モメンタムというのがうまくいっているんでしょうね。
ちなみに最新(2021/8/31)の4セクターはコミュニケーションサービス、金融、ヘルスケア、テクノロジーとなっています。
出典:Barclays |
テクノロジーやコミュニケーションサービスはCAPEの絶対値は高いですが、過去平均と比べた相対CAPEでみると安いということなんでしょうね。エネルギーも相対CAPEだけだと入りそうですがモメンタムで弾かれているのかもしれません。
そういえば昨年、ロバート・シラー教授が「テクノロジーセクターは過去20年平均と比べるとCAPEが低いのでバリュー投資だ!」みたいなことを言っていました。
過去記事:テクノロジーセクターはバリュー?
バリュー×モメンタム
ちなみにMSCI USA Select Value Momentum Blend Indexというバリューとモメンタムを組み合わせた指数に連動するETF(ULVM)もあるのですが、パフォーマンスは長期では良くても最近は芳しくありません。
出典:MSCI |
グローバルCAPE戦略
世界各国のなかでCAPEレシオの絶対値が低い国に投資するグローバルCAPE戦略が好きですが、これに近いGVAL(カンブリア・グローバル・バリューETF)は長年アンダーパフォームし続けています。
現在、私はグローバルCAPE戦略としてナイジェリア(9.0%)+ロシア(7.7%)+新興国小型配当(6.9%)+トルコ(1.3%)でポートフォリオの25%くらいを割いていますが、ロシア以外はやはりうまくいっていません。
グローバルCAPE戦略にも相対CAPEやモメンタムの考え方を取り入れてみてもいいのかもしれませんが、相対CAPEで見る場合は国によってデータが存在する期間が違うので単純に比べられませんし、日本みたいに絶対値ではそれほど低くなくても80前後まで急騰したせいで相対的には低くなってしまう国の取り扱いが難しいと思います。
日本のCAPE(出典:Research Affiliates) |
絶対的にも相対的にも低いのはトルコですが、こちらはモメンタムが悪いです。ナイジェリアもCAPEのデータがありませんが似たような感じだと思います。
トルコのCAPE(出典:Research Affiliates) |
ロシアはモメンタムは良いですが、CAPEはリーマンショック後では相対的に高い水準にあります。
ロシアのCAPE(出典:Research Affiliates) |
そのまま取り入れるのは難しいので、とりあえずナイジェリアやトルコみたいに安く思えてもモメンタムが悪いところを買い下がり続けるのはあまりよくない、くらいに考えておこうかなと思います。落ちるナイフを掴む趣味は経験上かなり資産を減らしている気がします。
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