ゴールド、ビットコイン、米国株、新興国株、REITと米国物価連動国債、米国債の相関


ゴールド価格(ドル建て)と米国の実質金利は逆相関であることが知られていますが、最近は米国株の予想PERと実質金利が逆相関というグラフもよく見かけるようになりましたし、基本的には資産価格全般にとって実質金利低下は追い風になるはずです。

 過去記事:ゴールドと米国の実質金利

 過去記事:【長期金利と株式リターン】良い金利上昇と悪い金利上昇


ということで、今回はPortfolio Visualizerを使ってゴールド(GLD)、ビットコイン(GBTC)、米国株(SPY)、新興国株(EEM)、REIT(VNQ)と米国物価連動国債(TIP)、米国債(IEF)の月次リターンの相関を調べてみました。期間はGBTCの設定来なので2015年6月~2021年9月です。


出典:Portfolio Visualizer

物価連動国債との相関はゴールド(0.57)>REIT(0.52)>新興国株(0.34)>米国株(0.32)>ビットコイン(0.13)、米国債との相関はゴールド(0.45)>ビットコイン(0.06)>REIT(0.02)>新興国株(-0.23)>米国株(-0.33)です。


ビットコインはゴールドと同じく実質金利が下がるほど(≒現金、債券がゴミ化するほど)上昇するイメージがありますが、その傾向が出てきたのは2020年に入ってからのようです。機関投資家が本格参入してくるようになるとそのうちゴールドみたいになるんでしょうかね。


出典:Portfolio Visualizer


ビットコインを除いて期間を2004年12月~2021年9月に伸ばすと以下のようになります。

出典:Portfolio Visualizer

物価連動国債との相関はゴールド(0.46)>REIT(0.32)>新興国株(0.29)>米国株(0.19)、米国債との相関はゴールド(0.30)>REIT(-0.04)>新興国株(-0.22)>米国株(-0.30)です。


ゴールドと物価連動国債の36ヶ月ローリング相関は以下のようになっています。

出典:Portfolio Visualizer

World Gold Councilの2013年のレポート(PDF)には「欧米市場の投資需要のプレゼンスは徐々に小さくなってきているので米国の実質金利がゴールドに与える影響もこの数十年で弱まった」みたいなことが書かれていましたが、少なくともリーマンショック以降はそれなりに安定して逆相関であり続けているようです。

物価連動国債版60/40ポートフォリオ

先ほども見たように米国株(SPY)と米国債(IEF)の相関係数は負ですが、米国株と米国物価連動国債(TIP)は正です。


SPY60/IEF40とSPY60/TIP40ではどれくらいの差が出るのか気になったので調べてみました。期間は2004年1月~2021年9月、リバランスは年1回です。

(同期間のSPYはリターン10.04%、ボラティリティ14.24%、IEFはリターン4.49%、ボラティリティ6.09%、TIPはリターン4.35%、ボラティリティ5.55%です。)


出典:Portfolio Visualizer

相関係数はSPY-IEFが-0.29、SPY-TIPが0.19なのですが、思ったより両者の差は小さいです。


60/40のようなバランスファンドについて、株式と債券が逆相関にならない時期では厳しいのではという話もありますが、逆相関でない物価連動国債を代わりに組み入れた場合でも一応はリスク低減効果があるのでそれほど心配する必要はなさそうな気がします。


1970年代の金利急騰局面にあっても損失を抑える効果はあったので、実質期待リターンがマイナスで株式との逆相関が続くか怪しかったとしても、やはり債券をポートフォリオに組み入れる意義はあるのかなと思っています。

 過去記事:60/40ポートフォリオとS&P500の長期チャート




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