日本円は単に割安なのか、相対的な所得水準低下を反映しているのか


日本円の減価が急激に進むにつれて、もともと低い私の労働意欲がさらに薄れていっています。


前にも同じような記事を書いたのですが、日本円が購買力平価や実質実効為替レートでみてかなり安く見えるのは、純粋に割安なのか、相対的な所得水準低下を反映している構造的なものなのか、どちらなんだろうかと思っています。

 過去記事:【バラッサ・サミュエルソン効果】ドル円は長期的に上がりそうな気がする


今は資源高で貿易赤字→円安ということだと思うのですが、日本の実質実効為替レート推移を見てみると、1995年をピークに下がり続け、現在は1970年代半ばとほぼ同じ水準となっています。

※このグラフでは最新データが2021年8月となっており、対ドルでは2カ月でさらに4%近く下落しています。


出典:FRED

これは以前作ったグラフですが、ちょうど日本の1人当たりGDPが世界平均から高所得国水準、アメリカを超えて世界最高水準まで急上昇していく過程で日本の実質実効レートは上昇し続け、1995年をピークに相対的な所得水準が低下していくに従って実質実効レートも低下している、という風に考えることもできると思います。

「日本の1人当たりGDP/高所得国の1人当たりGDP」と日本の実質実効為替レートを並べてみると以下のようになります。ちょうど現在の「日本の1人当たりGDP/高所得国の1人当たりGDP」も1970年代半ばと同じくらいの水準にあります。
現地通貨建ての1人当たりGDPに比べると実質実効為替レートの変動のほうが圧倒的に大きいので、これは相対的な所得水準低下のために実質実効為替レートが低下しているというよりは、日本円が割安に放置されているので米ドル換算した所得水準が相対的に低いとも言えそうですが。
(たとえばドル円レートでみると今がもし1ドル65円くらいであれば、日本の対高所得国の所得水準はだいたい2000年頃と同水準となるはずです。)

日本で資産形成中の労働者としては非常に不利なことですが、今後世界経済における日本のプレゼンスが低下していき、相対的な所得水準はさらに低下しそうな気がするので、日本円の実質実効為替レートにはさらなる低下余地があるのではと何となく懸念しています。


ちなみに「米国の1人当たりGDP/高所得国の1人当たりGDP」と米国の実質実効為替レートは以下のようになります。





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コメント

  1. こんにちは。Twitterから引っ越して来ました。
    実質実効レートではないのですが、ドル円の今後は私も気になるので記事にしてみました。「現在のドル高円安は是正される方向にある」という結論です。 https://pyfin-econ.blogspot.com/2023/09/blog-post.html

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    1. こんにちは。
      ブログ作られたんですね!
      この記事を書いたときはドル円115くらいだったみたいなので、現在の水準からみると今後数年で金利差縮小、購買力平価への回帰でドル安円高方向に動くだろうなというのは私も同意です。
      国際収支については最近話題になっている?米テック企業への支払いでサービス収支が大幅な赤字になっているとか、ナラティブ的なものも結構あったりするのかなと思いました。

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    2. 「為替は本当に難しい」というのは昔から聞いていましたが、こうやって自分でデータを整理するようになると、拠り所にするドライバーが無い事が身にしみて分かります。
      「ナラティブ的なものも結構ある」というのは同意で、恣意的な解釈が入り込む余地が大きいのでそうなるんだと思います。その説の発信源はみずほの唐鎌氏だと思いますが、彼も結構イデオロギーでものを言う人みたいですし。
      日米貿易摩擦の頃ほど円高圧力は高くない、というのは同意ですが、ITのサービス収支は現状無視できるレベルだと思います。

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    3. サービス収支の赤字は貿易収支と違って円安で改善することがなく今後も拡大していきそうなところが注目されているポイントなのかなと思っています。
      いずれにしても各要素がどれくらい影響を与えているのかもよく分からないですし、為替は本当に難しいですね…
      最終的には購買力平価に収束していくのだとしても、それを基準に為替ヘッジをかけたりすると今回の円安では相当損失が出たでしょうし…

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