貨幣の裏付けについて、最近読んだフリードリヒ・ハイエク著「貨幣発行自由化論」に個人的な考えと一致している文章が載っていたので紹介します。
ハイエクは、通貨価値の源泉についてもまったく頓着しない。通貨価値が硬貨の内在的な価値に依存するのか、裏付けとなっている資産に依存するのか、「国家信用」に依存するのかという野暮な議論もしない。要するに、交換や支払の利便(専門的な用語では、コンビニエンスという)を提供している限りで、人々がその通貨を保有するのであって、他の財と同じように、通貨の価値も、結局は、その通貨に対する需要の大きさに左右されることになる。世界中の経済学説史家たちが、いや商品貨幣説だ、それ信用貨幣説だ、どれ貨幣法定説だ、と大騒ぎしてきたが、そんな論争は、ハイエクからすれば、So what?と一蹴されてしまうような些事なのであろう。
引用:『貨幣発行自由化論 改訂版――競争通貨の理論と実行に関する分析』(フリードリヒ・ハイエク, 村井 章子 著)
金兌換貨幣の裏付けはゴールド、法定通貨の裏付けは政府・中央銀行の信用、ゴールドやビットコインには裏付けがありませんが、何にしてもある程度の希少性が維持されるだろうと信じられているものは裏付けに関わらず貨幣価値があるはずです。
ちなみに「貨幣発行自由化論」では民間企業が自由に裏付けのない貨幣を発行してどれが選ばれるかは市場に任せるようにするのが最も良い方法だと主張していますが、ハイエクはインフレだけでなくデフレも悪いという考え方みたいなので、インフレもデフレもない貨幣が選好されるだろうと書かれています。
(インフレ貨幣は債権者に不利、デフレ貨幣は債務者に不利なので。)
個人的には多種多様な物価バスケットに連動したステーブルコインが発行されるようなことになったら何が選好されるのかも含めて面白いなと思っています。最近はCPIが実態を表せていなくて帰属家賃を住宅価格に置き換えたらインフレ〇%になるとか、ある項目を抜いたら〇%みたいなのをよく目にしますし。
そういうものが広く受容されるようになったらSoVとしてのゴールドやビットコインみたいなものに対する需要は減るのかなと思います。
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