「織り込み済み」までの時間


米国株のプレミアム

アメリカが株主重視、無形資産、経済成長、人口動態などの様々な面で優れている等々は周知の事実であり既に株価に織り込み済みなので他の国よりも米国株を選好する理由にはならない、みたいな話があります。


これは私もその通りだと思うのですが、NYダウのPER/日経平均のPERをみてみると、コロナ後では急騰しているものの、現時点でのNYダウのPERは日経平均よりも20%程度高いだけであり、この程度だったら普通にNYダウのほうが魅力的なのではという気がします。

(S&P500は予想PER19.3、TOPIXは13.1なので、S&P500とTOPIXでは47%になりますが。)


データ:銀行.info

ある国が長期的に繁栄し続けたり、逆に衰退し続けたりするみたいな情報ってどれくらいの早さで織り込まれているのかはよく分からないです。

たとえば1900年には既にアメリカはGDPでイギリスを大幅に上回っており今後もアメリカのほうが繁栄しそうなことは誰もが分かっていたのではと思いますが、その後数十年にわたってアメリカ株はイギリス株をアウトパフォームしていますし、そういうものはかなりゆっくり時間をかけて織り込まれるのかなと思います。

出典:Principles for Dealing with the Changing World Order

QE、QTと長期金利、株価、逆イールド

QEは国債を中銀が買い入れるので長期金利低下、QTはその逆なので長期金利上昇というのは需給的には正しく思えますが、過去のQEとQT期間をみてみると、むしろ逆でQE中に金利上昇、QT中に金利低下となっていたりします。

 過去記事:長期金利はQE(量的緩和)期間中に上昇、QT(量的引き締め)期間中に低下している


出典:FRED

これはQEやQTが行われることが予め分かっているので織り込み済みなのかもしれませんし、QE中はリスクオンで長期債は売却されがちということなのかもしれません。


一方、QTで株価が下落するのは明白のように語られていますが、バランスシート縮小のペースが予め分かっている場合、それ自体は周知の事実なので予想通りのペースでQTが進むだけだったら織り込み済みで株価には影響しないとも考えられるのでは?という気もします。

(そもそもQTで株価が下落すると言われるのはDCFの割引率(長期金利+株式リスクプレミアム)が上昇するからということだと思いますが、QT期間中に長期金利が上昇するかどうかはよく分からないですし…)


出典:FRED


また、逆イールドで◯ヵ月後に株価下落、◯ヵ月後に景気後退みたいなのも今までは割と機能してきた訳ですが、これも十二分に周知されている状況で今後もずっと機能するとはなかなか考えにくいようにも思えます。


効率的市場仮説では利用可能なすべての情報は即時に織り込まれているということになっていますが、実際には織り込み済みとなるまでは場合によって時間がかかっているように思えるものもありますし、そもそも織り込まれているのか謎なときもあるのでいつも割と不思議に思っています。



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