先日、米30年国債利回りの低下トレンドについての記事を書いたところ、コメント欄でGPIFから出ている低金利定着に関する論稿を紹介していただきました。
この論考では、①ディスインフレ、②中央年齢の上昇、③新興国の余剰資金が米国債等に流入(過剰貯蓄仮説)、④政府債務の増大と公的機関による国債保有割合の増加、の4点についてまとめられています。
①と③は当分のあいだ逆流しそうな気がしますが、②の中央年齢は今後数十年にわたって上昇し続けるので、超長期金利低下トレンドはまだまだ続くのではと思っています。
出典:日米欧における低金利定着のメカニズム |
世界各国の中央年齢
国連によると、世界各国の中央年齢は2100年まで以下のように上昇するそうです。
(2100年には日本のほかドイツ、イタリア、ブラジル、トルコ等が中央年齢50歳超となり、全世界でも41.6歳に達する予測ですが、ナイジェリアはその時点でもまだ33.1歳とぶっちぎりで若いです。)
データ:Our World in Data |
日本は2050年頃でピークアウトしてその後は低下、中国は2050年頃から上昇ペースが緩やかになる一方、アメリカ、イギリス、全世界では2100年まで緩やかに上昇し続けるとの予測になっています。
データ:Our World in Data |
中央年齢と長期金利
アメリカの中央年齢(反転)と30年国債利回り、10年国債利回りをなんとなく重なるようにグラフ化してみると以下のようになります。
※国債利回りのデータはFREDのものです。
イギリスも同様に作ってみました。
(イギリスは30年国債利回りの長期データがなかったので、コンソル公債(償還期限がなく永久に利子が支払われる国債)で代用しています。)
イギリスの場合、中央年齢が最も若かった年(1975年)と長期金利の天井(1974年)がほぼ重なっています。
金利のデータが短かいですが、一応日本も作ってみました。
日本は中央年齢が1950年以降上昇し続け、長期金利は1974年以降低下し続けています。アメリカ、イギリスは2100年まで中央年齢上昇が続く一方、日本は2050年で頭打ちなので近いうちに超長期金利低下圧力は薄れていきそうです。よろしければ応援クリックお願いします
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