ゴールドのインフレ調整後リターンはニクソンショック以前はほぼ0%でしたが、ニクソンショック以降は株式に匹敵するくらいの高いリターンを記録しています。
SoV(価値の保存手段)としての需要は経済規模に応じて成長していくと思うので、ビットコイン等の競合に需要を奪われることがなければ、今後のゴールドの時価総額と世界のGDPの成長率はだいたい同じくらいになりそうな気がします。
とりあえず過去の米ドル建てゴールド価格とアメリカの名目GDPはどうだったかを調べてみました。
※米ドル建てゴールド価格はNational Mining Association(PDF)、アメリカの名目GDPはmultpl.comのデータを使っています。全世界のGDPを使ったほうがよさそうですが、長期データがなかったのでアメリカのものにしています。
ニクソンショック後の急騰を除くと、長期的な成長率は名目GDP>ゴールド価格ですが、ゴールドは毎年新たに金鉱山から採掘されていくので、ゴールド価格よりもゴールド時価総額のほうが上昇率は大きくなります。ゴールドの時価総額の時系列データは見つからなかったので、ゴールドのインフレ率を1.6%※として疑似的に時価総額を計算したものと名目GDPを比べると、以下のように両者はだいたい一致しています。
※1.6%は最近の数値で、昔はもっと新規供給量が多かったはずなので、実際のゴールドの時価総額はこのグラフよりも早いペースで上昇していると思います。
こうやってみると、今後も世界経済の成長に沿ってゴールドの時価総額も増えていくと考えても間違いではなさそうに思えます。
ちなみに、米ドル建てゴールド価格の期間をもっと長くしたチャートは以下のようになります。
1850~1971年のリターンは年率0.6%、1971~2021年では年率7.9%、全期間では年率2.7%です。ゴールドの時価総額/世界全体の名目GDP
世界経済のネタ帳によると2021年の世界全体の名目GDPは$96.160 T、Infinite Market Capによるとゴールドの現時点の時価総額は$11.551 Tなので、現在のゴールドの時価総額は全世界の名目GDPの約12%です。
米国の名目GDPは$22.997 Tなので、2021年のゴールドの時価総額/米国名目GDPは約50%です。
株式市場の時価総額/名目GDPはバフェット指数としてよく知られていますが、同じように先ほどの擬似的に計算したゴールド時価総額を使ってゴールド時価総額/米国名目GDPをグラフ化してみると以下のようになります。
今は歴史的にみると割と高い水準にありますが、低い実質金利が常態化した現代では昔よりはSoV需要が増えていて高水準が正当化されるのかもしれません。
また、産業革命前は世界のGDP成長率よりもゴールドのインフレ率のほうが高かったんじゃないかなと思うので、大昔は年を経るごとにちょっとずつゴールドの価値も下がっていたのでは??という気もしますが、実際のところはどうだったのか割と気になります。
古代ローマみたいな大昔と今では金貨の購買力はあまり変わらないみたいな話もありますし、超長期でみるとゴールドの実質リターンは0%になっているはずだと思うのですが。
よろしければ応援クリックお願いします
コメント