カルロ・ロヴェッリ著『時間は存在しない』



ストレスが溜まったときに壮大な宇宙に思いを馳せると、色々どうでもよく感じてきてメンタルが改善するという人は多いんじゃないかなと思います。

最近、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した写真が公開されましたが、知識がなくてよく分からなくてもああいうのを眺めていると割と癒される気がします。
Wikipedia見てみたらBALL(ボール・コーポレーション)傘下のボール・エアロスペース&テクノロジーズという企業とNOC(ノースロップ・グラマン)が主製造業者らしいです。BALLはS&P500に入っているようですが初めて知りました。)

そういう感じの目的で最近読んだ、カルロ・ロヴェッリ著『時間は存在しない』という本がとても良かったです。少なくともここ数年で読んだ本のなかでは一番です。

著者のカルロ・ロヴェッリ氏はループ量子重力理論といういかにも難解そうな理論を提唱している理論物理学者ですが、この本にはほぼ数式が出てこないので低学歴でもギリギリ読めます。(理解できるとは言っていない)

重力が時空を歪ませて時間が進むのを遅くする(たとえば高層階に住んでいる人は地表近くに住んでいる人よりもほんのわずかに時間が早く経過する)ことはよく知られているそうですが、この本によると時間は実際には存在せず、エントロピーの増大を人間が時間の流れだと認識しているだけなんだそうです。

わたしたちがたまたま暮らしている途方もなく広大なこの宇宙にある無数の小さな系Sのなかにはいくつかの特別な系があって、そこではエントロピーの変動によって、たまたま熱時間の流れの二つある端の片方におけるエントロピーが低くなっている。これらの系Sにとっては、エントロピーの変動は対称でなく、増大する。そしてわたしたちは、この増大を時の流れとして経験する。つまり特別なのは初期の宇宙の状態ではなく、わたしたちが属している小さな系Sなのだ
引用:カルロ・ロヴェッリ. 時間は存在しない

この本に書かれていることが正しいのかどうかはさっぱり分かりませんが、ともかく私がこれだけはっきりと感じている時間の流れでさえ実際には存在しないのかもしれないと思うと、宇宙のことを考える以上にもっと日常に感じる様々なストレスがどうでもよくなってきてメンタルヘルス的にとても良い気がします。

これからはストレスを感じるたびに壮大な宇宙と実際には存在しない時間に思いを馳せて自己防衛していきたいです。



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コメント

  1. 物質が空間を移動しているだけの事を脳が時間として感じているだけで、時間はそもそも止まっている(存在しない)という事ですかね?
    投資は時間を味方につける!←存在しないものを味方にするとは一体???
    とにかく癒やされる考え方ですね。

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    1. 考えれば考えるほどよく分からなくなりますが、ほんとに癒される考え方だと思います。
      この本ではエントロピーの増大というのも、何に秩序を見出しているのかによって変わってくるみたいなことが書かれています。
      たとえばカードの山の上半分がすべて赤、下半分がすべて黒のトランプを例にとってみると、色に着目した場合は最初の状態が低エントロピー、シャッフルしていくと赤と黒が混じってエントロピーが増大するように見えますが、別の特徴(偶数・奇数やスート、はたまたボロボロとかキレイみたいなカードの状態など)に着目すると最初のエントロピーが低いとは限らない、みたいな話が出てきます。

      そして投資は存在しない時間を味方につけるって考えたら何か面白いですね。
      色々うまくいかないことがあったら、でもそもそも時間は存在しないから(震え声)で逃げ切っていきたいです。

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