フリードリヒ・ハイエク著「貨幣発行自由化論」では、貨幣発行を国家が独占するのではなく、民間銀行の競争に任せる(民間銀行がそれぞれ固有の商品バスケットに連動する貨幣を発行し、どれが選ばれるかは市場に任せる)のが最善だと主張しています。
減価する貨幣は価値貯蔵手段として不適格である一方、増価する貨幣は価値貯蔵手段に特化しすぎて交換・支払手段として使われなくなるので、いずれも広く使われることはなく、自由競争のうえで選ばれるのはバランスのとれた商品バスケット連動貨幣(連動する商品バスケット自体も公的な物価指数ではなく、どれが選ばれるかを市場に任せる)になるとしています。
しかし今のところ、減価する貨幣(法定通貨)と増価する貨幣(ゴールド、ビットコイン)はあっても、商品バスケット連動貨幣というのは現実にはないと思います。
(ハイエクの考えていたような国家から独占権を取り上げて民間銀行に発行事業への参入を許可するというのは当然無理ですが、商品バスケット連動のステーブルコインとかもないんじゃないでしょうか。CPIに連動するステーブルコインは一応存在するみたいですが…)
現実的には増価する貨幣を作ることはできても、商品バスケット連動は難しそうな気がします。
ビットコインのLightning Network決済は広まるんだろうか
ところで、ビットコインには低コストで即時決済ができるLightning Networkという技術があり、日本では決済するたびに雑所得で利確したことになるので使えませんが、日本以外では少額決済非課税化の動きが結構あるみたいなので、将来的にはそれなりに使われるようになるのかなと多少は期待しています。
ですが、増価する貨幣は退蔵されるので使われないというのは結構大きい気がしていて、多額の含み益を抱えている人が少しずつ非課税で利確するために使うことはあっても、それ以外の普通の人は減価する法定通貨を使おうとしそうな気がします。
仮にゴールドに並ぶくらいの時価総額まで成長して決済に使えるくらいまでボラティリティが小さくなることがあったとしても、その後も他の法定通貨に対しては増価し続けるはず(うまくいった場合はゴールドみたいに名目経済成長率くらいに落ち着くと思っています)なので。マイクロペイメントとかは有望そうですが…
過去記事:米ドル建てゴールド価格と米国名目GDP
個人的にはビットコインにはとても強気ですし、Lightning Networkはよく分からないながら面白いなと思っていますが、広く一般的に使われるまではなかなか難しそうな気がしています。
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