S&P500と米長期金利を比べてみた場合、大恐慌前くらいまでは長期金利と配当利回りが競合しているように見えるのに対して、1960~2010年頃の約50年間は長期金利と株式益利回りが競合しているように見えます。
過去記事:【長期金利とS&P500】長期金利と配当利回り/株式益利回りが競合する時代
大恐慌前までのS&P500の配当利回りはだいたい5%前後で推移しており、株式のリターンの大部分は配当でしたが、近年は配当利回りが低くなり株価上昇の比重のほうが大きくなっているので長期金利よりも配当利回りのほうが低いのが普通でした。
QE以降は再び配当利回り>長期金利に戻ったあと、足元では金利上昇で長期金利>配当利回りが普通になっています。
各国の配当利回りと長期金利
現時点での世界各国の配当利回りと長期金利を比べてみると以下のようになります。
(配当利回りは米国以外はMorningstar(各国ETFの分配金利回り)、長期金利はInvesting.comのデータを使っています。配当利回りはETFの分配金利回りからとっているので一部ちょっとおかしいものもあるかもしれません。)
配当利回りと長期金利のスプレッドの降順に並べると以下のようになります。
相対的低金利の先進国ほどスプレッドは大きい傾向にありますが、国によって配当性向やセクターの違いがかなりあったりするので、イールドスプレッド(益利回りと長期金利のスプレッド)よりも使いにくい気がします。
(下位3位のエジプト、ナイジェリア、トルコはPER5~6とかなので、イールドスプレッドだと割安になったりします。)
不動産は利回りと長期金利のスプレッドが使いやすそうですが、これも長期金利が高い国は高インフレのぶんだけ賃料の上昇率が高いと思うので単純に比較するのは難しそうな気がします。
データを見たことがないので実際のところはよくわかりませんが、高インフレ、高金利の新興国で不動産の利回りが2桁とかになっているとはあまり思えないですし…
最近のS&P500はほとんど実質金利で説明できるとかいうのもありますし、個人的には名目金利とのスプレッドよりも益利回りと実質金利の水準のほうが重要なのかなと思っています。
過去記事:「株式益利回り-実質長期金利」と実質金利調整後PER
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