【S&P500】10年毎の実質トータルリターンを分解してみる


今回はONLINE DATA ROBERT SHILLERのデータをもとに、S&P500の実質トータルリターンを10年毎の実質EPS成長率+平均配当利回り+バリュエーション変化に分解してみました。

※バリュエーション変化はCAPEレシオの変化率とかではなく、実質トータルリターン-(実質EPS成長率+平均配当利回り)で計算しています。


実質トータル
リターン
実質EPS
成長率
平均
配当利回り
バリュエーション
変化
1880年代8.6%0.1%5.1%3.5%
1890年代5.3%4.5%4.3%-3.4%
1900年代7.5%2.3%4.4%0.7%
1910年代-2.1%-4.6%5.9%-3.4%
1920年代16.9%6.7%5.4%4.8%
1930年代1.9%-3.0%5.5%-0.6%
1940年代3.6%4.0%5.7%-6.1%
1950年代16.2%1.5%4.9%9.8%
1960年代5.2%2.7%3.2%-0.7%
1970年代-1.1%2.4%4.0%-7.6%
1980年代11.0%-0.9%4.2%7.7%
1990年代15.0%5.1%2.4%7.4%
2000年代-3.0%-1.5%1.8%-3.3%
2010年代11.6%7.4%2.0%2.2%
全期間平均6.7%1.9%4.2%0.6%


全期間平均では実質トータルリターンが6.7%ですが、内訳は実質EPS成長率が1.9%、平均配当利回り4.2%、バリュエーション変化が0.6%となっています。


積み上げ棒グラフにするとこうなります。

実質ファンダメンタルリターン(実質EPS成長率+平均配当利回り)はこんな感じです。

実質ファンダメンタルリターンはすべてプラス圏で実質トータルリターンに比べると変動も小さいですが、その内訳は配当主体から実質EPS成長主体に移ってきています。


そして当然のことながらバリュエーション変化は回帰するので大きく拡大したあとは縮小、再び拡大という繰り返しになっていますが、縮小よりは拡大のほうが多いので期間全体としてはプラスに寄与しています。


各要素を別々にグラフ化するとこうなります。

実質トータルリターン指数を片対数グラフにして年率6.7%のトレンドラインを引くと上昇ペースは一貫しており、足元の上昇もそこまで大したことでもないように感じるます。

しかし現在のS&P500のCAPEレシオは約30と歴史的にみてかなりの高水準になっており、超長期でみれば配当利回りが下がる続けるのを実質EPS成長率とバリュエーション変化によって賄ってきたみたいな感じです。

向こう10年の実質リターンを考えると配当利回りは1%台半ば、さらなるバリュエーション拡大を見込むのはなかなか難しそうなので、実質EPS成長率がどれだけ出るかにかかっていると思われます。

昔とはセクター構成が違っているので低配当・高成長・高バリュエーション気味で今後も推移していきそうな気も割としますね。


まあいずれにせよ2020年代は2010年代よりもリターンが低くなるのは確実でしょうし、来年から始まる新NISAは多くの人の想定のようにはうまくいかないんだろうなあと思っています。




よろしければ応援クリックお願いします
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ

コメント