バブルの基準


足元の資産価格上昇は少し高所恐怖症を感じるくらいですが、AIバブルみたいに"バブル"と呼ぶほどのものではないんじゃないかなと思っています。


個人的には指数全体がPER60〜80だった日本のバブルや、Cisco等の一部テック株がPER100〜200だったらしいITバブルはあまりにもファンダメンタルから乖離しているのでバブルと呼べると思っていますが、今は最も割高感のあるアメリカやインドも予想PERは20台前半ですし、NVDAでさえもEPSの急成長に株価が追随していっているだけなので成長が持続不可能でなければバブルではなさそうです。


個別株でバブルというとEPSがそれほど成長していないのに期待先行でPERが急拡大していっているものを指すと思いますが、指数レベルでは明確なバブルになったことはほとんどないんじゃないかなと思うんですよね。


武者リサーチでは真の意味でバブルというのは持続不可能な水準まで株価が上がり暴落したまま長期低迷することを指しているので、この条件に当てはまるのは1929年の大恐慌直前のアメリカと1989年の日本の2つだけだそうです。

おそらく現代の資本主義で、本当の意味でのバブルであったのは、1929年代初頭大恐慌直前のアメリカ、そして1989年の日本株式の2つだけである。それ以外は2000年のITバブル崩壊も、あるいは2008年のリーマンショックも、株価は暴落したが、バブルでは無かった。バブルとは持続不可能な水準まで株価が上がり暴落をしたまま低迷するということなのだが、2000年も2008年のリーマンショックも、その後数年で株価は過去のピークを取り戻した。株高は持続不能とは言えなかったということは、今振り返ると明らかである。武者リサーチは2008年の暴落のさなかでも、株価はバブルではないと主張しつづけた。たまたま政策と人々の期待のすれ違いから買い手が蒸発し、株価が大きく下落をしたが、株価が大暴落する実体的な根拠はないと考えたからであったが、これは正しかった。何故1929年の米国、1989年の日本の2つバブルが起きたのだろうか。二つの理由が考えられる第一は稼ぐ能力の喪失、その前提として大不況、二つ目のもっと重要な理由は、政策レジームの逆噴射である。

引用:2022年の米金融政策展望と米国で進化する株式資本主義

ちなみに1929年世界恐慌直前の米国株はPER20、CAPE30超でした。


今と比べるとさほどバブル感がないものの、弾けたあと長期にわたって低迷し続ければバブル、リーマンショックみたいに暴落しても比較的短期で回復すればバブルではないということです。ちょっと勝てば官軍感がありますが。


今も株価が暴落したあとに長期間株価が低迷したまま戻らなければ後で振り返ってバブルと言われるのかもしれませんし、あとから全然まだ安かったよねと振り返ることができるかもしれません。


個人的には最近読んだ、100年前から人々はもう株価は上がらないのではないかと悩み続けてきたというのが面白かったです。

イギリスの貿易商で投資家でもあったジョージ・スティーブンス(1841~1917)は晩年に、次のような言葉を残しています。

株式投資のお陰で、わたしは自分の資産を増やすことができた。

しかしこんなに大きな利益を実現して、果たして大丈夫だろうか?

わたしのあとに投資を始める人は、ほんとうに儲けることが出来るのだろうか。

引用:投資信託クリニック

案外と下落相場に脳死で買い増しし続けることはできても、不安の壁を登る株価がいつ崩壊するかを心配しながらホールドするほうが難しいように感じています。


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