ゴールドは長期では配当込み株式には勝てない


最近はゴールド高騰&株価下落により、特定期間を切り取ってS&P500よりもゴールドのほうがリターンが良かったみたいな言説が増えた感じがします。


今回は1968年以降でゴールドがS&P500をアウトパフォームしているというグラフを見たので、配当込みの指数できちんと比較してみました。

(データはゴールド価格(年次)がNMA、S&P500の名目トータルリターン指数(月次)はロバート・シラー氏のサイトから自作しました。)

過去約57年で配当込みS&P500が250倍になった一方、ゴールドは89倍であり、逆転にはまだまだ至っていません。


1970年代は金本位制でゴールドが米ドルに対して大幅に割安だったところからの修正でゴールドが大幅にアウトパフォームしていますが、その後10年でS&P500が追い抜いたあとは一度も逆転していません。


S&P500トータルリターン指数をゴールド価格で割った指数はこんな感じです。

これをみると2000年頃はゴールドが対米株で非常に安かったのがよく分かりますね。

ちなみに、配当を含まないプライスリターン(1969年12月=100)だとゴールドがMSCI USAを上回っています。
とはいえ、各プライスリターンとゴールドのCAGRの差は最も大きいEAFEでも2.4%程度なので、配当込みではEAFEのほうが上のはずですし、USAは圧勝、日本も余裕で勝っているはずです。

私としては長期的にはゴールドの時価総額の成長率が概ね名目GDP成長率程度に収束すると思っているため、ゴールドのリターンは毎年新たに採掘されて希薄化するぶんだけ名目GDP成長率を下回るはずで、配当込みの株式リターン(長期ではおおよそ名目GDP成長率+配当利回りに収束するはず)には遠く及ばないだろうと思っています。
 過去記事:長期的には株式リターン>GDP成長率>ゴールドのリターン


同様に、個人的にはビットコインに強気で当面のあいだは株式を大幅にアウトパフォームすると思っている一方で、現在のビットコインはニクソンショック以降の大幅な割安が修正されていく過程のゴールドの不確実性が高い版みたいなものだと捉えているため、ビットコインの時価総額が適正水準に到達したあとはやはり世界の名目GDP成長率程度のリターンに収束すると思っています。

(逆にゴールドは既にフェアバリュー以上でしょうから、一部のゴールド強気派が主張するような1970年代的な暴騰は法定通貨が完全に紙屑化する以外ではありえないと思います。)




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