ゴールドバグとビットコイナー



ゴールドバグとして最も有名?なピーター・シフはトークン化されたゴールドを販売しようとしているそうです。

Binance創設者CZとの討論において、シフは無担保のビットコインよりもゴールドのトークン化こそが優れた貨幣であると主張した一方、CZはゴールドをトークン化したら第三者の発行者と保管者への依存とトラストが不可欠になってしまうと批判したとのこと。

そもそもシフはゴールドを売る業者でもあるので、信用できないのは国家と中銀であって民間企業に預けるのは問題ないという考えなんだなというのを改めて思いました。

とはいえ、中銀が信用できないのはいいとして、民間企業に預けた資産の安全を担保しているのは突き詰めると国家の暴力だと思うので、国家が信用できないパラノイアは自己管理すべきだと思うんですよね。

このあたりは原理主義的なビットコイン支持者は民間企業に預けるのもNGで自己管理こそ至高的な思想だと思うので、ゴールドバグと比べるとより偏執的だといえそうです。

まあゴールド販売事業者的な性格の強いシフは原理主義的なゴールドバグではないのかもしれませんが。

ちょっと気になったので調べてみると、GPT5.1曰く富裕層個人・ファミリーオフィスがゴールドを保管するときは主には業者に預けているものの、近年は一部を自宅やプライベートな場所の金庫で保管するハイブリッド型になっているみたいなことを言っていました。
比較的ビットコインに好意的なレイ・ダリオも、ゴールドに比べるとプライバシーがないのでその点で明確に劣っている的なことを言っていたと思うのですが、こういう富裕層が預けるような保管場所は普通に私たちが利用できる証券口座やあとは田中貴金属とかで混蔵寄託みたいなのと比べるとプライバシーは高いみたいです。

そういう形態で保有できるのであれば割と良さそうですが、日本の一般庶民は無理なので大人しく現物バー・コインとかビットコインを自己管理するのが良いのではと思います。

富裕層個人・ファミリーオフィスのゴールド保管戦略とプライバシー

富裕層個人およびファミリーオフィスは、リスク管理・相続・地政学リスク分散といった観点から、ゴールドを重要なポートフォリオ構成要素として扱うことが多くあります。その際の「保管のしかた」は大きく分けて、プロ保管(専業ヴォールト)と自宅・自己ヴォールトでの保管という二つの軸で整理できます。また、近年はビットコインなどデジタル資産との比較において、「プライバシー」の観点からゴールドをどう位置づけるかも重要な論点になっています。

1. プロ保管(vault / depository)が「主戦場」

富裕層個人・ファミリーオフィス向けのゴールドストレージでは、おおよそ次のような仕様が標準となっています。

  • 高セキュリティヴォールトでの保管
  • segregated / allocated(バーごと・シリアル番号付きでの個別割当)
  • 顧客ごとの名義管理+保険付け(フルインシュアランス)

Hubbis、American Standard Gold、New Zealand Bullion Depository 等の事例からは、ファミリーオフィスに対して「ETFなどのペーパー・ゴールドではなく、実物+専業ヴォールト保管」を推奨するケースが複数確認されています。

このことから、富裕層が保有するゴールドのうち、ボリュームの大きい“メインの塊(tonnage)”については、プロのヴォールトでの allocated 保管がデファクトスタンダードと見なせます。

2. 自宅・自己ヴォールトでの「サブ的」保管

同時に、近年は「ホーム・ストレージのラグジュアリー化」も進んでいます。

  • 自宅内に小型ヴォールト(耐火・耐盗の高級金庫)を設置する
  • デザイン性も重視した金庫に金地金を保管する

こうしたトレンドから、一定量のゴールドを自宅やプライベートな場所で保管する富裕層が増えている、という報告も見られます。

ただし、業界サイドのコメントでは一貫して次のようなスタンスが示されています。

  • 小口〜中口の金額なら自宅保管もあり得る
  • しかし大口の保有分については、専業デポジトリ(保管業者)でのプロ保管を強く推奨

そのため、「富裕層が一切自己保管しない」というわけでは全くなく、

  • 一部を自宅や秘密の場所で自己保管しつつ、
  • 主要部分はプロのヴォールトで allocated 保管する

というハイブリッド型の保管スタイルが、実務上もっとも一般的なパターンと推定できます。

3. 富裕層向けヴォールトと一般的な金融口座のプライバシー構造

ゴールド保管を考えるうえで重要なのが、「税務・当局からどの程度見えるか」という意味でのプライバシー構造です。ここでは、富裕層が利用する専業ヴォールトと、日本国内の証券口座や大手地金ディーラー(例:田中貴金属)の口座を比較します。

3-1. 専業ヴォールト(スイス・シンガポール等)の特徴

  • 多くは「銀行ではない」独立のヴォールト事業者として運営されている。
  • KYC(本人確認)・AML(マネロン対策)は国際基準に沿って実施され、顧客の身元情報や取引記録は内部に保持される。
  • 一方で、銀行や証券会社のような「CRS報告金融機関」に該当せず、
    国際的な自動情報交換(CRS)の枠組みによる“毎年自動での口座情報送信”の対象外とされているケースが多い。
  • どのバーが誰のものかは、ヴォールト内の台帳と契約でのみ管理されており、外部からは見えない(公開台帳は存在しない)。

つまり、専業ヴォールトは「KYCはあるが、銀行・証券口座ほど税務当局に対して自動的・体系的には可視化されていない」という性質を持ちます。匿名ではないものの、一般的な金融口座よりはプライバシーが高い構造になっていると言えます。

3-2. 日本の証券口座・国内地金ディーラーとの違い

日本の証券口座の場合:

  • 証券会社はCRS上の「保管機関(Custodial Institution)」として扱われる。
  • 非居住者の口座情報は、毎年税務当局を経由して各国間で自動的に情報交換される。
  • マイナンバー制度や法定調書もあり、税務当局から見た可視性は非常に高い。

田中貴金属など国内の大手地金ディーラーの場合:

  • 犯罪収益移転防止法にもとづき、一定規模以上の取引については本人確認・記録保存が義務化されている。
  • 大手ディーラーは実務上、少額取引でもほぼすべて本人確認を行っているケースが多い。
  • 地金の売却などで一定額を超える場合、支払調書等を通じて税務署に情報が行く場合がある。

このように、国内の証券口座や大手地金サービスは、国家側から見ると「かなりよく見える」設計になっています。一方で、スイスやシンガポール等の専業ヴォールトは、KYCは行うものの、銀行・証券ほど自動報告インフラに組み込まれていないため、相対的にプライバシーが高いと評価できます。

4. ゴールドとビットコインのプライバシー比較

ビットコインに比較的好意的な投資家であっても、「プライバシー」の観点ではゴールドの優位性を指摘するケースがあります。レイ・ダリオなどが典型で、彼らの論点は概ね次のように整理できます。

4-1. ビットコインの構造

  • すべてのトランザクションがパブリックチェーン上に記録され、誰でも閲覧可能。
  • アドレス自体は匿名だが、KYC済み取引所・オンランプと紐づくことで、トランザクション履歴が個人にトレースされやすい。
  • 分析企業(チェーンアナリティクス)の発達により、実務上の匿名性は年々低下している。

このため、「国家が本気を出せば、ビットコインの資産・送金履歴はかなり追跡可能であり、プライバシーは限定的だ」という見方が一定の説得力を持ちます。

4-2. ゴールド+専業ヴォールトの構造

  • 物理資産であり、チェーン上の公開トランザクション履歴は存在しない。
  • 銀行外の専業ヴォールトを利用し、CRS枠外の形で保管すれば、
    「国内証券口座」「KYC済み取引所経由のビットコイン」よりも当局からの自動可視性は低くなる。
  • 一部を自宅セーフ等で保管する場合、その存在は所有者とごく限られた関係者にしか知られない。

もちろん、ここでもKYCやAMLは存在し、裁判所命令や国家間の法的協力があれば情報が開示され得ます。したがって「完全な匿名」ではありませんが、それでも「公開台帳+自動報告インフラ」に乗っているビットコインや証券口座に比べれば、ゴールドのほうがオフチェーンで扱いやすく、プライバシー余地が広いと評価されやすい構造になっています。

5. まとめ:ハイブリッド保管とプライバシー設計

富裕層個人・ファミリーオフィスのゴールド保管は、「安全性・コンプライアンス・保険」を重視したプロヴォールトでの保管が主戦場であり、そのうえでプライバシーや心理的安心感を理由に、一部を自宅・自己ヴォールトで持つ形に収れんしています。

プライバシーの観点から見ると、

  • 日本の証券口座や国内大手地金サービスは、税務・当局からの可視性が高い。
  • スイスやシンガポールの専業ヴォールトは、KYCはあるがCRS等の「自動報告インフラ」への接続度が低く、相対的にプライバシーが高い。
  • ビットコインは公開台帳とチェーン解析により、表向きの匿名性に比べて実務上のプライバシーは限定的になりつつある。

その結果として、「ポートフォリオの一部をゴールドで持ち、それを銀行外の専業ヴォールト+一部自宅保管というハイブリッド構造で管理する」ことは、単なるインフレ・通貨安ヘッジだけでなく、「監視社会・情報可視化の進行に対するプライバシー・オプション」としても機能し得る設計だと言えます。どこまでを自己保管し、どこからをプロに任せるか、またどの国のインフラを使うかは、保有規模・居住国の治安や法制度・家族構成・政治リスクへのスタンスによって最適解が変わる領域です。




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