世界各国のイールドスプレッド比較(2018年5月末)


2018年5月末の世界各国のイールドスプレッドを見ていきます。
(過去記事:世界各国のイールドスプレッド比較(2018年4月末)

※イールドスプレッドは株式のバリュエーションを判断する指標のひとつです。
債券同士の利回り格差や株式と債券の利回り差を指し、それぞれの利回りを比較することで相対的な割高感・割安感を判断する指標のひとつとなる。
債券同士の場合は、一般的に長期国債を基準に、残存期間や信用度から債券利回りの割安・割高を判断する。債券と株式の場合は、長期国債の利回りから配当利回り(=年間配当金÷株価)や株式益回り(=1株利益÷株価)を引いた数値を比較する。
引用元:野村證券「証券用語解説集」


イールドスプレッド比較(2018年5月末時点)


PER益利回り10年国債
利回り
イールド
スプレッド
中国7.912.66%3.65%-9.01%
シンガポール10.29.80%2.58%-7.22%
ハンガリー9.810.20%3.22%-6.98%
日本14.56.90%0.04%-6.86%
韓国10.79.35%2.69%-6.65%
ドイツ14.76.80%0.34%-6.46%
台湾14.17.09%1.00%-6.09%
オランダ15.86.33%0.52%-5.81%
ロシア7.613.16%7.36%-5.80%
オーストリア16.56.06%0.65%-5.41%
スウェーデン17.05.88%0.48%-5.41%
ポーランド12.08.33%3.28%-5.06%
チェコ14.36.99%1.94%-5.05%
アイルランド17.15.85%0.94%-4.91%
フランス18.05.56%0.67%-4.89%
ベルギー17.95.59%0.74%-4.85%
スペイン15.96.29%1.50%-4.79%
デンマーク20.54.88%0.35%-4.52%
英国17.55.71%1.23%-4.48%
イスラエル16.06.25%1.80%-4.45%
香港15.16.62%2.18%-4.44%
スイス25.53.92%-0.07%-3.99%
ノルウェー17.55.71%1.76%-3.95%
フィンランド22.84.39%0.57%-3.81%
イタリア15.56.45%2.84%-3.62%
カナダ17.65.68%2.25%-3.44%
タイ16.56.06%2.65%-3.41%
オーストラリア16.95.92%2.69%-3.23%
ポルトガル19.55.13%1.96%-3.16%
ギリシャ13.77.30%4.58%-2.72%
ニュージーランド21.84.59%2.77%-1.82%
米国22.04.55%2.86%-1.69%
マレーシア18.25.49%4.21%-1.29%
フィリピン19.15.24%6.10%0.86%
南アフリカ13.97.19%8.56%1.36%
インドネシア18.55.41%7.06%1.65%
トルコ8.212.20%13.85%1.65%
メキシコ17.25.81%7.81%2.00%
インド25.13.98%7.83%3.84%
ブラジル17.95.59%11.22%5.63%


※PERははStarCapital AG、10年国債利回りはInvesting.comのデータを使いました。

グラフ化すると以下のようになります。
先月に比べて全体的には割安になってきています。

特に割安なのは中国(-9.01%)、シンガポール(-7.22%)、ハンガリー(-6.98%)、日本(-6.86%)、韓国(-6.65%)、ドイツ(-6.46%)です。

割高なのはブラジル(5.63%)、インド(3.84%)、メキシコ(2.00%)、トルコ(1.65%)、インドネシア(1.65%)、南アフリカ(1.36%)です。

CAPEレシオを使ったイールドスプレッド比較(2018年5月末時点)

最後に、益利回りの代わりにCAPEレシオの逆数を使ったイールドスプレッドを比較してみます。イールドスプレッドを計算するときにCAPEレシオを使うのが正しいのかは分かりませんが、PERを使った場合よりも一時的な要因を除けるので併せてチェックしています。


CAPE益利回り
(CAPEの逆数)
10年国債
利回り
イールド
スプレッド
ロシア6.415.63%7.36%-8.27%
チェコ9.910.10%1.94%-8.16%
スペイン13.07.69%1.50%-6.20%
ポーランド11.48.77%3.28%-5.50%
イスラエル15.16.62%1.80%-4.82%
ポルトガル14.86.76%1.96%-4.79%
英国16.75.99%1.23%-4.76%
ドイツ19.95.03%0.34%-4.68%
オーストリア18.95.29%0.65%-4.64%
シンガポール14.17.09%2.58%-4.51%
ノルウェー16.56.06%1.76%-4.30%
ハンガリー13.37.52%3.22%-4.30%
スイス23.94.18%-0.07%-4.26%
スウェーデン21.34.69%0.48%-4.22%
フランス21.34.69%0.67%-4.03%
フィンランド22.44.46%0.57%-3.89%
韓国15.36.54%2.69%-3.84%
台湾21.44.67%1.00%-3.67%
オランダ23.94.18%0.52%-3.66%
日本27.33.66%0.04%-3.63%
香港17.95.59%2.18%-3.41%
ベルギー24.64.07%0.74%-3.33%
イタリア17.45.75%2.84%-2.91%
オーストラリア18.45.43%2.69%-2.75%
デンマーク34.62.89%0.35%-2.54%
カナダ21.64.63%2.25%-2.38%
タイ20.34.93%2.65%-2.28%
マレーシア15.96.29%4.21%-2.08%
中国18.65.38%3.65%-1.73%
ニュージーランド24.54.08%2.77%-1.31%
アイルランド45.32.21%0.94%-1.27%
米国30.43.29%2.86%-0.43%
フィリピン19.95.03%6.10%1.07%
インドネシア18.05.56%7.06%1.50%
メキシコ20.05.00%7.81%2.81%
南アフリカ17.95.59%8.56%2.97%
インド22.44.46%7.83%3.36%
ブラジル12.97.75%11.22%3.47%
トルコ9.910.10%13.85%3.75%
ギリシャ-5.1- 4.58%-

※CAPEレシオはStarCapital AG、10年国債利回りはInvesting.comのデータを使いました。

グラフ化すると以下のようになります。
CAPEレシオを使った場合だと、先月に引き続きロシア(-8.27%)とチェコ(-8.16%)が群を抜いて割安です。

トルコ(3.75%)、ブラジル(3.47%)、インド(3.36%)、南アフリカ(2.97%)、メキシコ(2.81%)、インドネシア(1.50%)、フィリピン(1.07%)は割高です。

順位はだいたい先月と似たような感じですが、トルコは10年国債利回りの急騰でかなり割高になってきています。なお、トルコの10年国債利回りは5月末の13.85%から、この記事を書いている時点では16%近くまで急上昇しているため、イールドスプレッドで判断すると現在のトルコ株は5月末時点よりもさらに割高ということになります。

ただ、トルコ株はCAPEレシオ単体とリスクプレミアム(株式益利回り+名目GDP成長率-10年国債利回り)で判断すると割安だと思うので、私はTUR(iシェアーズ MSCI トルコ ETF)を$2,500程度保有しています。

高金利の新興国株はイールドスプレッドで判断すると大抵割高になりますが、利益成長率を加味したリスクプレミアムでみるとそこそこ割安になったりします。この辺りはどう考えるのが正しいのかよく理解できていません。今のところは低CAPEのロシア株とトルコ株を保有していて、ポーランド株も新たに買うつもりでいます。
(過去記事:世界各国株式のリスクプレミアムを計算してみる
(過去記事:EPOL(iシェアーズ MSCI ポーランドETF)


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