PERは株価をEPSで割って求めますが、以下のように表すこともできます。
(参考記事:山崎式「株価の高低判断法」)
PER=1/(割引率-成長率)割引率というのは投資家が株式に要求するリターンのことなので、今回は9%(実質リターン7%+インフレ率2%のイメージ)とします。
成長率を一定としたときの適正PER
まずは割引率=9%、成長率=X%としたときの適正PERを計算してみました。グラフ化すると以下のようになります。
multpl.comによると現在のS&P500のPER24.3です。これは割引率9%、成長率4.88%のときの適正PERです。
米国の長期的な名目GDP成長率を約4%(実質GDP成長率2%+インフレ率2%)とすると、5%近い増益が永久に続くと考えるのは非現実的で、現在の水準はやはり割高に思えます。
(過去記事:米国の企業利益成長率と名目GDP成長率の関係)
逆にロシア株やトルコ株のPERは約7.4で、これは同じ条件だと成長率がマイナス4.5%としたときの適正PERです。実際には国によってリスクが異なり、高リスクのロシア株やトルコ株のPERは米国株よりも低くなるのが当然だと思いますが、それを考慮しても現在の水準は割安なんじゃないかなと思っています。
また、成長率を一定とした場合、成長率が割引率に近づくとPERが極端に高くなってしまい、割引率を超えると計算できなくなってしまいます。
現実にはもっと成長率の高いグロース株もたくさんありますが、永遠に名目GDP成長率を超える成長を続けるのは無理なので、次はもう少し現実的に二段階に分けて計算してみます。
1-10年目の成長率=X%、11年目以降=2%としたときの適正PER
今度は1-10年目はX%で成長し、11年目以降は2%(インフレ率並みのイメージ)で成長すると仮定します。まず例として、投資時のEPS=100、1-10年目の成長率X=10%、11年目以降の成長率=2%、割引率=9%とすると、1-10年目のEPSと残存価値は以下のようになります。
(参考記事:DCF法、ディスカウントキャッシュフロー法について解説)
PER=現在価値(適正株価)÷EPS=2,648÷100=26.5となります。
この方法を使って、1-10年目の成長率をX%、11年目以降の成長率を2%、割引率を9%としたときの適正PERを計算してみました。
グラフ化すると以下のようになります。
1-10年目の成長率=X%、11年目以降=4%としたときの適正PER
最後に1-10年目はX%で成長し、11年目以降は4%(名目GDP成長率並みのイメージ)で成長した場合の適正PERを計算してみました。※割引率は同じ9%です。
グラフ化すると以下のようになります。
割引率を9%とした場合、たとえば最初の10年に15%成長、その後は4%成長するグロース株があったとすると、その適正PERは49.1になります。
GOOG(アルファベット)やFB(フェイスブック)は予想PER26程度なので、(現在の高成長がもうしばらく続くとしたら)かなり割安と言えるんじゃないかなと思います。
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始めまして、非常に参考になる記事の配信いつもありがとうございます。
返信削除特に今回の成長率からみる現在の適正PERについては、長期投資において非常に参考になる数字かと思います。
今後とも投資判断の参考にさせて頂きます、よろしくお願いします。
はじめまして。
削除コメントありがとうございます。
お役に立てたなら嬉しいです。
こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします!
はじめまして。
返信削除ロシア株はちょっと面白いバリュエーションなのですね。
他の記事もマクロなデータが一杯でとても勉強になります。
成長率と適正PERの話ですが、私は10年目以降は保守的に成長0%くらいで計算することが多いです。
そのせいで、GOOGもFB等はなかなか買えず、チャンスを逃してます(笑)
複利の恩恵を受けるなら、成長株投資だとは思いますがリスクを負うさじ加減は難しいですね。
はじめまして。
削除成長率は少し設定を変えると結果が大きく変わってしまうので難しいですよね。
GOOGやFBは市場平均よりもやや高い程度のPERで、成長率は市場平均を大きく上回りそうな気がしているので少しだけ投資していますが…
ロシア株はPERだけでなく、CAPEレシオやPBRでみても割安ですし、インフレも落ち着いていて経常収支も安定して黒字、外貨準備も十分と申し分ないように思えるので、今のところ最優先で買い増ししています。