7/12時点のTUR(iシェアーズ MSCI トルコ ETF)のPERは7.03で、ERUS(iシェアーズ MSCI ロシアETF)の7.65を下回りました。CAPEレシオも9.4(6月末時点)で、ロシア(6.3)に次いで低いです。PER、CAPEレシオを見る限りではとても魅力的に思えます。
懸念点は慢性的な経常赤字と高インフレ・高金利です。
トルコは大幅な経常赤字を穴埋めするために国外からの投資資金流入に頼っていますが、こうした国は米国の金融引き締めの影響を受けやすいです。先月再選されたエルドアン大統領は金融政策の統制強化を進めており、先日フィッチはトルコの長期ソブリン債格付けを「BB+」から「BB」に格下げしました。
インフレ率は6月には15年ぶり高水準の15.4%を記録していますが、エミン・ユルマズさんは「実体は20%くらいなのではないか」と書かれています。政策金利は17.75%まで引き上げられましたが、それでもトルコリラは下げ止まる気配がありません。また、トルコは原油需要のほとんどを輸入に頼っているので原油高のダメージが大きいです。
(参考記事:エミン ユルマズさんとトルコ大統領選、総選挙直前論点整理!)
トルコ株はたしかに低PERですが、トルコリラ建ての株価が上昇しても、ドル換算したら為替差損で大したパフォーマンスが得られないかもしれません。
米国の場合、企業利益成長率と名目GDP成長率は長期的にはほぼ一致すると考えて良さそうですが、高インフレのトルコにも同じことが当てはまるのかがよく分かりません。
(過去記事:米国の企業利益成長率と名目GDP成長率の関係)
トルコのドル換算EPS推移
とりあえず高インフレ下のトルコ株のEPSがドルベースできちんと成長していたのかを調べてみました。「PER=株価÷EPS」なので、「EPS=株価÷PER」で求めることができます。
PERは「わたしのインデックス」に載っている月次のPER、株価はTURの月次終値(YahooFinanceのAdj Close)を使って、トルコ株のドル建てのEPSを概算してみると以下のようになりました。
※わたしのインデックスには2009年9月以降の月次PERが載っているので、期間は2009年9月〜2018年6月です。
トルコの高い実質GDP成長率を考えると低い伸びですが、ドル換算したEPSも一応は成長していたようです。
トルコリラ/米ドルの長期チャート
investing.comでトルコリラ/米ドルの長期チャート(対数軸)をみてみると、物凄いペースでリラが減価してきているのが分かります。トルコ株の長期パフォーマンス(1994年5月~2018年6月)
出典:MSCI TURKEY INDEX (USD)
同期間のトルコリラは対ドルで99%以上下落していますが、トルコ株はドル建てでも高いパフォーマンスをあげています。
また、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズによるとトルコリラは大幅に過小評価されているそうです。
リラは、過小評価されているようにも見える。ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが採用する購買力平価モデルによれば、現時点で32%過小評価されている。リラの次に過小評価されている南アフリカランドは25%、メキシコのペソは18%。低PER、低CAPEかつ通貨も安いと思われるので、とりあえずポートフォリオの3%程度まで買い増しするつもりです。さらに下落し続けるようならウェイトの引き上げも検討したいと思っています。
引用:指標に見るトルコ金融市場の「惨状」(ロイター)
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